347球目 鳥は出来るだけ飛びたくない

※今回は臨港りんこう学園の生野いきの係斗けいと視点です。



 この筋肉ならホームラン打てそうやけど、アウトになったら怖いから、水宮みずみやのボール当てにいこか。



 初球は外のストレート。打てる!



「ファール」



 タイミング早かったかー。次は決めたる。



 2球目は内に食い込むスライダー。打ちにくっ!



「ファール」



 何とか後ろのファールで逃げられた。前に飛ばしたらアウトやったな。



 3球目は外のチェンジアップ。体が少し泳いだが――。



「ファール」



 鳥目になったおかげで、どんなボールでもスローモーションに見える。今の俺は手に届く範囲なら全て打てる、ブルーバード・オブ・バッチンゴッドやぁ!!



 10球ぐらいファールにしたら、相手が根負けして四球フォアボールになった。



 普段は次のバッターが打ったら走るけど、監督が盗塁のサインを出してきたから、打つ前に走るぞ。



 水宮みずみやの左足が上がって2塁へ走る! キャッチャーが“右手”で捕ってすぐセカンドへ。ヤバイ、アウトんなる!



 瞬時に両腕を広げて飛んで、セカンドのタッチをかわした。ちょっとの間飛ぶのも、かなり体力削られるな。どうりで、野生の鳥や鳥の獣人がギリギリまで飛ばんワケや。



 十九じゅうくがライト前に流し打って、俺はホームにかえってこられた。1点ノルマ達成!



(続く)

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