338球目 超強力打線が手を抜かない

「プレイボール!」



 臨港りんこう学園のトップバッターははた。4回戦でホームランを打っているので、コースに注意だ。



 インコースに立て続けに攻めて、カウントが1-2に。4球目は、ストレートを外のボールゾーンへ投げる。



「ソバ!」



 はたが思いっきり打ってきた。打球は左中間真っ二つ。いきなりツーベースヒットだ。遊び球も打ってくるのか……。



「2番ファースト緑川みどりかわ君」



 このバッターは前の試合でホームラン打ってるし、打率が5割を超えている。うちの2番打者バントマンとえらい違いだ。



 ケガの少ない低目を攻めるも、打たれてしまう。強い打球が、セカンドを襲う。宅部やかべさんが正面で捕って、ファーストへ送球し、ワンアウトを取れた。



「3番レフト夜鹿よじか君」



 このバッターはホームランはないが、打率4割6分ぐらい打っている。臨港打線は穴が少な過ぎるよ。ここは内角高めインハイ外角低めアウトローのコンビネーションで攻める。



 外角低めアウトローのスライダーを見送った後、内角高めインハイのストレートを打ってきた。打球はセンター奥深くへ。山科やましなさんが捕った。



「バックホーム!」



 山科やましなさんが自慢の強肩で投げてきたが、2塁走者ランナーはたはうちの宅部やかべさん並みに速い。あっという間に先制されてしまった。



「ハァー、ランナー無しかー。つまんな」



 鰐部わにべがタメ息を吐いて打席に入ってきた。タメ息を吐きたいのは、こっちの方だよ!



(続く)

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