330球目 出塁率と長打率の計算はややこしくない
神戸ポートタウン大学付属高校のコンピュータ室で、野球部員が次の試合のシミュレーションをしていた。彼らは野球ゲームの画面を
投手陣は対戦校のAIの打者、野手陣は同校のAIの投手とひたすら対戦を繰り返す。その成績が良かった者が、次の試合のスタメンに
「打率2割5分の平凡なキャプテン、調子はどうだい?」
「その二つ名、やめて下さいよ、監督。ご覧の通り、50回対戦して16回ヒット、10回
「ふむふむ。打率4割ジャスト、出塁率5割2分か。まぁまぁ、いいじゃないか。ところで、明後日の
「えっ? いきなり、何ですか。そうですね……」
「
「やれやれ。模範的な解答だねぇ、アベレージキャプテン」
「君は
(49-1)安打÷(161-23)打数=0.3478……
「それでも、打率3割4分8厘、
「出塁率はどうだい?」
(77-2)出塁数÷(191-24)打数と四死球と犠飛の合計=0.4491……
「4割4分9厘になります」
「そう。もし
「いやいやいや! 全然、互角じゃないですよ! まず、パワーが違います! 肥満化ハンデを抜いても、
(70-1)塁打数÷(161-23)打数=0.4662……
「4割6分6厘で、3割も違います!」
「
「ともに0ですけど、それが?」
「浜甲は18盗塁と9犠打を決めている。ヒットを打った選手が2塁に進めば、二塁打に
「思わ、思います」
「それをふまえて、盗塁と犠打の合計数を塁打数に入れよう。どうなる?」
(69+27)塁打数÷148打数=0.6486……
「6割4分9厘です……」
「その差は1割3分ほど。ちなみに、3回戦の雨、4回戦の主力2人が抜けるハンデを抜けば、両チームの差は
「ということは、接戦になる?」
「そのとおり。我々と同じ球場で試合をやるもの、何かの縁。じっくり観戦しようじゃあないか」
村下監督はずれたメガネの位置を元に戻して、不敵な笑みを浮かべた。
(続く)
※注 長打率
単打を1、二塁打を2、三塁打を3、本塁打を4として合計し、打数で割ります。
例えば、
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