129球目 理事長夫人の気が持たない
「キー! 何なのよぉ!」
屋上の
「だ、大丈夫やって、アンナちゃん。うちのチームは10点打線や。あんなヘボピー、すぐ打てる」
「そうですよ、
「そうね。あんな小技は2度も使えない。ホームランで決めちゃいなさい、
デヴィッド
3回裏の
先頭打者の
「走れ、走れー!」
アンナの期待どおり、
「タッチ、アウト!」
アンナの唇が小刻みに震える。
「次は高校通算打率5割2分の
恋のノルマ3安打に向けて燃える
ここで、
「アウト!」
アンナの双眼鏡を持つ手が、地震のごとく激しく揺れる。
「喜田! 次の
「もちろんです!
水宮の高めに浮いたストレートを、
「アウト! スリーアウトチェンジ!」
死球、2ベースヒット、ホームランで3点入るはずが、盗塁死、走塁死、レフトフライで0点。
アンナは大口を開けて、石像と化してしまった。
(続く)
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