77球目 無心に打つしかない
一方の俺は6回を投げて8安打4
「
ネクストバッターズサークルに行こうとする俺に、グル監がバナナを手渡す。皮に黒い斑点が多くて、甘い香りがただよっている。
「ありがとうございます。おいしー」
投球の疲労がどんどん抜けていく。体力ゲージが回復してるな。
「食べながら聞いてね。
「好きな風、ですか」
初回は遊び球を打ち、2回目の打席は狙い球を絞った。しかし、それらは俺の本来のバッティングじゃない。初球からフルスイングして、遠くに飛ばす。小さい頃から変わらない。
球種やコースの読みはない。ただ無心でバットを振る。ボールが当たって、センターへ飛んだ。
「よっしゃあ!」
俺が吠えれば、打球の伸びが増す。センター
「さすが俺! 超能力ナシで長打を打てるなんて、格が違うなー」
「
「ファンタスティック! 私は感動しました」
ベンチの声援に笑顔で応える。野球が楽しくなってきたよ、母さん。
見上げた青空は澄み切って、俺の心の雲をかき消していく。
(続く)
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