60球目 練習試合に実況はつかない
記念すべき高校生活初めての試合。
2週間前の野球をやらない決意をしていた自分に、今の景色を見せてやりたい。
野球場の中で、1人だけ高い位置にいるピッチャー。城(塁)を奪おうと襲いかかる敵(打者)を殺していく快感を味わえる。
やっぱり、自分は生まれながらのピッチャーなんだな。
「レッツ、エンジョイベースボール!」
「プレイボール!」
球審(パソコン研究会部員)が手を挙げて試合開始を告げる。
足を上げて、腕を振って、
「アウト!」
一塁塁審(花丸高校の野球部員)の声を聞いて、俺は空に向かって息を吐く。
2番センター
初球・2球目ともに、低めのチェンジアップを見逃した。カウントはノーボール2ストライク。
2球とも石像みたいに微動だにしなかった。常識的にいけばストレートだけど、
俺のスライダーは
「ストラック! バッターアウッ!」
エルフ君は目を真ん丸にして、ミットに入ったボールを見ている。高校初めての三振が初回に奪えて、ラッキー。
3番ライト
3軍だけど、花丸高校打線を0点に抑えられたぜ!
(続く)
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