22球目 小説にBGMはつけられない
軽音楽部の部屋は、2年F組の教室だ。そこから、ハードロックな音楽が聴こえてくる。
「失礼しまーす」
ドアを開けた俺達が見たのは、ヴィジュアル系シンガーだった。
ハリネズミのごとく無数の尖ったオレンジ髪、中央に黒い
俺達は思わず握手してしまう。
「デヴィッド
「ごめんね。あたし達、あなたを野球部に誘いに来たの」
「野球部だって? またオレはロンリーデイズか……」
彼はため息を吐いて、西部劇のようにギターをかき鳴らす。会話に英語を挟むのは
「うー、やはり、オレのソウル・ミュージックにふれないと、ユーの気持ちは変わらないということか。今から聴かせてあげよう、なぜ軽音楽部がオレ1人になったのかを。『
作詞・作曲・編曲:デヴィッド真池
期待を胸に 軽音楽部に入る
先輩の
しかし気になるよ 歌声やギターのテク
オレが先輩に 手本を見せたなら
Uh
どれだけレベルアップ求めても
先輩はついてこれやしない
去っていく 音楽以外の道見つけて
教室は オレ1人だけ
I want a new member
I seek stimulation
I wander in loneliness
You don't know the number of my tears……
彼は歌い終わると、首をななめにかたむけ、俺達を手招きする。いや、今は音楽やる気はないから、丁重にお断りしたい。
「野球場は音楽で満たされていて、
「応援ソングのことかい? オレは演奏を聴きたいんじゃない、弾きたいんだ」
「抜群のリズム感、激しく演奏してもバテない体力、是非とも野球部に入ってほしいのに」
(水宮入部まであと4人)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます