第46話
(まさか、あいつに諭されるなんて思ってもなかったよ)
俺は結衣の家に向かっている途中、有紗のお父さんに反対されるかもしれないと言う不安よりも、圭人に諭されて行くことになった驚きの方が強かった。
(ちゃんと良い報告をして戻らないとな)
俺はより一層進むスピードを上げて、有紗の家へと向かった。
俺が有紗の家に着くと、何故か有紗は家の外に出ていた。
「有紗!」
「えっ! 何で聡太がここにいるの⁉︎」
俺が話しかけると有紗は驚きながら、そう答えた。
「まぁ色々あって、お前のお父さんを説得しにきた」
俺は聞かれた質問に対して、堂々とそう答えた。
「……なるほどね。あの二人が企んでたのね……」
有紗は何かに気がついたように、うんうんと、頷いてから
「何となく状況は分かったわ。それじゃあ、早速行くわよ」
あれだけの説明で分かるなんて、有紗もあの二人が何かをやっていることに、薄々気づいていたんだろうな。
「ああ、絶対に成功させような」
「当たり前よ」
俺たちはそう誓い合って、有紗の家へと入って行った。
「お邪魔します!」
「ただいまー」
俺の緊張したような声と、有紗の元気な声が玄関に響いた。
「おかえりなさい……あら、聡太くん久しぶりね」
「はい。お久しぶりです」
出迎えてきてくれた、有紗のお母さんに挨拶をした。
有紗のお父さんとは上手く行ってないけど、お母さんの方は上手く行っていると思っている。
「今日は……こういう日なのね」
お母さんは呟くようにそう言った。
「すみません。お騒がせしてしまうようで」
「いやいや、全然大丈夫よ。私は先に戻るわね。同じ場所に居るけど、手助けはできないと思うから、二人とも頑張ってね」
「はい。ありがとうございます」
「うん。頑張ってくる」
有紗のお母さんに応援をされて、俺たちはそれぞれの言葉を返して、有紗のお父さんがいる場所に向かった。
「ふぅ。緊張してきた」
有紗のお父さんがいる、部屋に入る前にふと呟いた。
「大丈夫よ。私がついてるわ」
有紗はそう言って俺の方を叩いた。
「ああ、そうだな。今回の事だけは、どんなことがあっても成功させるぞ」
「うん。そしてあの二人に自慢するしてやろうじゃない」
「だな」
もうこれは俺と有紗だけの問題じゃない。手伝ってくれた、圭人と結衣さん。励ましてくれた、有紗のお母さん。皆んなのためにも絶対に成功させてやる。
俺たちは最後の勇気づけをして、部屋に入った。
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