付き合ってからのお話と、聡太と有紗

第22話

「やっと付き合ったのかー」

「ちょ、声大きいって」


 ゴールデンウィーク明けに学校で、聡太にそう言われた。


「いいじゃねえか。めでたいことなんだし」

「そうよー。私たちも色々苦労したんだから、ちょっとくらい、いいじゃない」


 有紗さんも話に入ってきた。


「そ、それは感謝してるけど……」

「でしょ。——でどこまでいったの」

「どこまでも何も何にもしてないよー」

「えー、同居してるのに」

「そうは言っても、付き合ってからまだ一週間くらいなんだよ」

「ふぅん」


 有紗さんと結衣はそんな話をしていた。

 それを見ていると聡太に話しかけられた。


「なぁ、なんだかよそよそしくなってないか?」

「そ、そりゃいきなり付き合ってもどんなことをすればいいのかわからないんだよ」

「はぁ。そう言うことか。お前らってほんと面白いよな」

「そうか?」

「だって付き合う前から恋人みたいだったのに、付き合ってから気にするとか」


 聡太はそう笑いながら言った。


「はぁ! 付き合う前から恋人みたいだったって……。そんなこと……」

「じゃあ恋人がしそうなことを挙げてみろよ」


 聡太にそう言われたので少し考えてみた。


「えっと、デートとか?」

「前やってただろ」

「う! 確かに。じゃあ手を繋ぐとか?」

「絶対あるだろやったこと」

「それは……」


 ないと言おうとしたが、引っ越してきてすぐの時に手を繋いだことがあったため、無いと言えなかった。


「ほらな。お前ら元から恋人みたいなもんなんだって」

「そうだったのか……。あれが普通だったのに」

「その普通がおかしいんだよ」


 そんな風に聡太と話していると、結衣と有紗さんが会話に混ざってきた。


「何話してるの?」

「ああ、こいつが恋人って何やるとか聞いてきたんだよ」

「ちょ! 言うなって!」

「あはは、バカね。元々恋人みたいなものだったじゃない」


 有紗さんが聡太と同じようなことを言った。

 その後の流れはもちろん


「えー! そんな事ないよー」


 と結衣が否定していた。しかし、結衣も同じ質問をされたのだろうか。見る見るうちにもじもじとしだし。顔を赤く染め上げていた。


 その日の放課後。


「なぁ、今日は久しぶりにみんなで遊ばないか?」

「いいね。久しぶりと言ってもそこまで経ってないけど」


 あの日聡太と話した時以来だから一週間程度だ。


「うーん。じゃあどこ行く?」

「どこか買い物に行こうよ」

「そうだな。どうせだったら何かプレゼント用のものを買ってもいいし」

「それでみんなで交換とか?」

「おおー、いいじゃない。楽しそう」

「じゃあ、早速行くか」

「「「おおー」」」


 そうして俺たちはいつもの毎日を過ごす。

 中学ではいろいろあったけど、高校では全く新しい出会いや出来事もあった。

 これからは思う存分高校生活を楽しんでやる。



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