第13話

 私はけいくんを送った後、有紗ちゃんが来るまでのんびり過ごしていた。

 そして約束の時間になると


「ピンポーン」


 インターホンが鳴った。


「はーい」

「来たよー、結衣ちゃん」

「いらっしゃーい」

「綺麗な家だねー」

「最近引っ越してきたばかりだしね」


 そんな会話をしながらリビングへと案内した。


「じゃあ何して遊ぶー?」


 私はチラチラといろんなところを見てる有紗ちゃんに聞いた。


「うーん。遊ぶのも良いけどちょっと話したいことがあるの」

「話したいこと?」

「うん。もう単刀直入に言うね」

「うん」


 何が言われるんだろうかと、私はとてもドキドキしていた。


「圭人くんとなんで付き合ってないの?」

「えっ……。ええー! なんでそんなこと聞くの?」

「ずっと二人の様子を見てたけどね。付き合ってる間柄の仲なのよ」

「そうなの?」


 普通だと思ったんだけどなー。


「いや、考えてみて。ただの幼馴染ってだけでどんな時でも一緒に登校してこないって」

「えー、でも友達だったら一緒に登校すると思うよー」

「どっちかが日直の時も?」

「え! 普通だと思うけど」

「はぁ、その段階なのね……」


 有紗ちゃんは額に手を当てため息をついた。


「じゃあ、毎日同じ弁当を食べてるのは?」

「うっ! そ、それは」


 同居してるからなんて……いえない。


「他にもあるわよ」

「まだあるの!」

「ええ、もちろんよ。例えば——」

「も、もう言わなくて良いよー」


 私はそう言って有紗ちゃんの口を塞いだ。


「まぁ、そういうことよ。だからなんで付き合ってないのかなーって疑問になっちゃって」

「うーん」


 私たちが付き合ってない理由……か。


「多分けいとくんは私の事興味ないし……」

「え! それ本当に言ってる?」


 私が思っている事を言うと、ありえないという顔で驚かれた。


「絶対気があるって」

「えー……。でもね。中学の時色々あったから……」

「色々って……。聞かないほうがよさそうね」

「ありがと。話せるようになったら話すよ」

「うん。で本題に戻るけど」

「うん」

「他にも理由があるんじゃない?」

「他の?」


 他の理由かー。まずけいくんと付き合う! なんて考えることはほとんどなかった。

 思春期に入った中学時代は一時期会えなかった時期もあったし、今は、高校生活で精一杯だし。

 そんな事を考えていると、有紗ちゃんに言われた。


「結衣ちゃんって恋したことないんじゃない」

「えっ」


 言われてみればそうだ。この人が好きってなったことはない気がする。

 心の中で納得していると、また有紗ちゃんが「訂正させて」と言って、続けてきた。


「もう小さい頃に恋してから変わってないから気付いてないって言ったほうが正しいかな」

「うーん」


 そうなのかな。分からないよ。

 それにもう、考えすぎて色々疲れてきた。いつもはほとんど考えてないことだし。


「ちょっと考えてたら疲れてきちゃったよ」

「それは分かるわ。この話はまた今度にでもしましょうか」

「うん……。そうだね」


 それにしても有紗ちゃんってとても詳しいな。こういうのは得意なのかな。

 そのあとは普通に遊びとても楽しい時間を過ごすことが出来た。


「じゃあ、また明日ねー」

「うん! バイバイ」


 時間も来て有紗ちゃんは帰っていった。

 でもまだ、最初に話した話が頭に残っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る