第6話
「これで全部か?」
「うん。そうだよ」
「じゃあもう諦めて、同居するしかないか」
「うん。どっちかが出ていくなんて出来ないしね」
そんな冷たい事、俺も結衣も言えないだろうな。
「だな。じゃあ、そうと決まれば役割分担でもするかな」
「そうだね。じゃあ偶数の日は私が料理するから、奇数の日はお願いね」
料理の分担はすぐに決まった。
「分かった。洗濯はどうする?」
「それも二人で分ければいいんじゃないかな?」
「でも俺がお前の下着とか触っていいのか?」
「うう……。それはちょっと困る」
そう言って結衣は少し目を逸らした。
「だろ。だから俺が買い出しとゴミ捨てやるから、洗濯頼めるか?」
「分かった。それなら良いね。——じゃあ最後に掃除だね」
「まあそれは一緒にやった方が早いよな」
「だね。じゃあ休みの日に一緒にやればいいかな」
「ああ」
こんな感じですぐに、役割分担が決まった。今までも役割分担とかしてきたし、そのおかげかな。
役割分担が終わり二人でダラダラと過ごしていると結衣にこんなことを言われた。
「あのね。ちょっと買い物に行かない?」
「別に良いけど何でだ?」
「まぁ、色々足りないものがあったりすると思うから買いに行きたいなーって」
「まぁいいか。じゃあいつ行く?」
「今からって言ったらダメかな?」
「今からかー」
まだ荷物の整理が全部終わってないしなー。
「何で今からなんだ? まだ春休みもちょっとは残ってるぞ」
「うーんとね。ここの近くに、今日まで限定で、食べられるパフェがあるらしいんだ。だから食べに行きたいなーって」
「へー。ちょっと気になるな」
今日まで限定のパフェか。どんなパフェ何だろうか。食べてみたいな。
「でしょ! 今日は目一杯楽しもうよ。そしたら荷物の整理も捗るよ」
「確かに。楽しそうだし、行ってみるか」
そうして結衣に乗せられて、遊びに行く事にした。
「お待たせー。じゃあ行こー」
「ああ」
俺たちは出かける準備をして、家から出た。
「改めて見て思ったけど、ここには色んなものがあるね」
「どっちかっていったら、前の場所が何もなかっただけな気もするけど」
引っ越して来る前は結構な田舎だったため、物珍しいものが沢山あるっていう感じだった。
「じゃあ早速パフェ食べに行くのか?」
「うーん。それも良いけど……。適当に色んなとこを回らない?」
「まぁそれも良いかな。この街よく見れなかったし」
「じゃあそういう事で、行こー!」
そう言って結衣は俺の手を握って走った。
「ちょ! そんな手を握らなくても、ついていけるから」
「良いじゃん。行くよー」
「はぁー。しょうがないな結衣は」
結衣には恥ずかしいとかそういう感情が無いのか。
「(ふぅー。良かった)」
この時圭人は、結衣の後ろに居たため気づかなかった。結衣の顔がほんのり赤くなっていた事に。
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