第7話②

 高橋さんが研究所を辞める。


 中原先生の所に今朝、辞職を申し出るメールが来ていたらしい。


 なんで、突然。そんな話は一度もしていなかったはずだ。


 

(なんだ、なんだか変な胸騒ぎがする)


 

 俺はすぐに高橋さんと連絡を取ろうとチャットを開いた。



 『あっ』



 高橋さんから1件音声メッセージが来ている。



 時間は、、、、昨日の、深夜3時。



 (深夜3時って)



 俺は白衣を着て笑顔で写る高橋さんのアイコンを押して、メッセージを再生した。



 その声は震えていた。




『ほ、本間くん。



ずっと、考えていたんだが、やっぱり、



やっぱり違うと思うんだ。



あの夜、俺は見たんだ。この目ではっきりと。



あれは、あれはあの白髪頭のおばあちゃんの大家ではなかった。



あれは女だ、若い、多分30そこらの女だった。



濡れた長い黒髪で、



青白い素肌。



その目はすごい血走っていて、



まっすぐと俺を




俺を睨みつけてきっ 』






 

 不自然にそこで、メッセージは途切れていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る