第24話ですわ!
ハイル様の後ろについて、学院内の大きな出入り口に『モンスター避けの罠』を仕掛けていきます。
ビッグ種は校庭にまで入り込んでおり、後少し遅かったら校庭から渡り廊下を渡った先の吹き抜けから入り込まれるところでしたわ……。
「モンスターの種類も多種多様ですわね」
「ああ。それに、一度発生した以上倒さなければ……」
「大変ですけれど、エイラン様にお願いしましょう」
「それしかないだろうな……。俺もさすがにあの数は……。学院のNPCたちは基本的に戦闘機能はないから、俺たちでなんとかするしかない」
「…………」
やはりハイル様はここがゲームの中だと理解しておられる。
わたくしが知らなかった方がおかしいのでしょうか?
だとしたら、ハイル様にもご相談しても良いかもしれませんわね。
「あの、ハイル様……ご相談がありますの」
「うん? なんだ?」
「実は…………」
「もーぉ! なんなのおおぉ!」
一路、エイラン様と合流する道すがらご相談しようと思いましたが、玄関ホールから響いてきたエルミーさんの不満げな声に足を止めます。
二階の手すりから覗くと、斧を抱えたまま地団駄を踏んでいますわ。
「せっかくビッグ種がいるのに! なんで私を避けまくるのよー! 戦闘にもならないし〜! ムカつくー!」
え、大量発生しているビッグ種を狩ろうとなさってる……!?
それ自体は全く構いませんし、むしろどうぞどうぞ、ですが………………はっ!
わたくしが先程投げつけた罠の一部が機能したんですわ!
「やりましたわ、ハイル様! ご覧になって! エルミーさんがわたくしの行いで悔しがっておりますわ!」
「ああ、良かったね」
意図したところとは違いますけど!
思いも寄らぬ大成果ではありませんの!?
ようやくわたくしも悪役令嬢が板についてきたという事ですわね!
ふふふ、まあ、まだまだこんなもので満足は致しませんわよ!
これまでの分を倍返しにして差し上げすわ!
そう!
これはほんの序章なのです!
「はっ!」
い、嫌ですわ!
わたくしったら、無意識にハイル様の袖の裾を引っ張っておりました。
子どもではありませんか、こんな……!
「も、申し訳ございません……」
「なにが?」
「は、はしゃいでしまいまして……」
「構わないさ。キャリーがそんなに嬉しそうなのは珍しい。たまには良いと思うよ」
「ハ、ハイル様……!」
て、手を!
手を重ねられて……!
それにとてもお顔が近いです!
あ、あああぁ……! 恥ずかしいです!
それに、なんて蕩けんばかりの笑顔なのでしょう!
し、し、し、心臓が破裂してしまいそうですわ!
「…………ん!?」
「ん? どうかした?」
「ハ、ハイル様! なぜ笑顔でわたくしに『良かったね』などとお声掛けくださいますの? そこは『なんて酷い事を!』ではありません!?」
「いや、酷い事ではないな? むしろ、彼女の身を守ってる。さすがにビック種が大量発生している中、一人で飛び込んだらやられてしまうだろう」
「っ!」
た、確かにぃーーーー!
も、盲点でしたわーーー!
「えぇ!? では、わたくしのやった事はやはり失敗でしたの!? ようやく成果が出せたと思いましたのに!」
「まあ、彼女は地団駄を踏んでいるし成功といえば成功なんじゃないかい? いやぁ、なんとも絶妙な嫌がらせだね、キャリー! 実に見事だ!」
「ううううぅーー!」
ぜ、全然褒められた気が致しませんわー!
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