第4話 夢魔族【ドッペルゲンガー】
「ドッペルゲンガーってあのオカルト類の?」
俺の呟きが聞こえたのか白衣の少女はその死体を検分するかのように見ている。
「うん。でも多分ソイツは地球のオカルトとは違うと思う」
「そこは同意見。ってコレ死んでるじゃない」
その言葉に一同が頭に?を浮かべているようにも見えるが無視する。
「…一部の創作界隈ではその存在を喰らうことで変身することが可能な【夢魔族】とされていたり性交渉を行い相手の遺伝子を搾取することにより変身したりなどと色々ある」
「分からなくもないけど精子も卵子もそこまで万能ではないわよ」
分からないわけではないんだ…。俺はコレを理解した時は意味不明だがこういう事かと実物を見られてちょっとだけ感動してたりする。
「即死毒ね。コレ下手したらゾウですら殺せるんじゃない?」
ゾウってそこまで耐毒性あるのか?怖いわ。
「人工物ね。この世界の法則を理解したわけではないから状況証拠だけど」
服をガサゴソを弄り大量の薬瓶を取り出す。何処に入ってたんだろうかと思うほど多い。
「ほとんどが遅効性もしくは麻痺毒。それに刃を潰したナイフに針。スパイ見たいね。なら自殺用のを歯に仕込んでたのね」
よくある義歯に自殺用毒を含むアレか。でもそれって。
「解毒なんてあったものじゃないわ。もし仕込みが外れたら大変だからこういうのは遅効性の死毒のはず」
だよなー。
「となると性交渉タイプか脳味噌食べたかのどちらね」
わーどっちも俺らの年齢でして良い事じゃない。というか普通に年齢制限だわ。前者はエロだし後者はグロだし。妙に耐性があったけど絶妙に引くわ。
「解剖したいけど私はそっち系の技術はないし性的絶頂の波動なんて教えてくれないから」
それは正しいと思うが。この娘もかなり顔立ちは整っているしその仕草一つ一つが精練されており高貴なご令嬢に見える。白衣を着てたり平然と脅したり歳不相応な語彙といい。
「それはパーソナルの側面もあるだろ。性的嗜好は人によりけりだが」
「不味いわね。この状況下で信用できる存在が少なすぎる」
それだ。というかまず自分自身ですらこの状況下で信用できない。あの女性ですらドッペルゲンガーである可能性が出てきてしまうのだから。そもそも此処が夢であり精神干渉の人体実験の可能性もある。考えだしたらきりがないかも知れないが最悪を考えるともうどうしようも無い。何より衛生状況すら不明。一応そういうことを1から作り上げることもできなくはないが【魔王】の存在も気になるし元の場所に帰るには取り敢えずはここが攻略起点になるだろう。
「ところでこの世界って如何やって遺体処分するのかしら?」
「火葬だろ」
死霊なんかも出てくるしゾンビやスケルトンに化けられる前に滅却が一番だろ。殺そうとしてきた連中に慈悲などない。
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