第2話 【勇者】召喚
10月10日
桜井神社墓地
「あら亮也くんどうしたの?」
「こんにちは志波さん。今日は両親の月命日なので」
両手に抱える掃除道具などを見て理解したのか警備員の志波さんは通してくれる。
俺ー
幼稚園を卒業した頃にそう教えられた。…なんでそんな頃にそんな事実を教えたのか義親を問い詰めたが歳の割には異様に物分かりの良い俺ならソレを知っても大丈夫だろうと言う理由らしい。そして本来なら小学校卒業時だったとも言われた。それはそれで色々と台無しだろと思ったが中学に入ると自力で気付くと思ったらしい。…すいません年中には気付いていました。
理由は単純。俺はちょっと特殊な血液型で両親はどっちもA型。義妹である美波もA型なので多分純A型だろう。先祖返りの可能性もなくはないがそれだけでも十分に珍しいのだから考えていなかった。別にそんな事気にもしてないけどな。
「さてとさっさと終わらせますか」
別に肉親の眠る墓所を掃除するのが嫌なわけでもないがさっさしないと怒るからな。
テキパキと墓石を洗い花を挿す。最後に1分間の黙祷を捧げて墓石の裏に周るとそこには普段には見慣れないものがある。
「剣?エクスカリバーみたいに?」
刀身は地中に埋まっているが鍔より上は完全に外に出ている。まさに封印状態という感じだがこんなもの始めて見た。
「取り敢えず抜いてみるか?」
柄を握り引き抜くと驚くほど簡単に抜けた。すると漆黒の鞘が露わになり大体の長さも分かる。精緻な細工が鞘にですら施されているから装飾剣なのだろうか?ただし何故かとても軽い。約95cmほどもあるはずだが全く重さを感じない。
「何で出来てんだ?」
流石に気になったので鞘から剣を抜いてみるとその刀身が露わになる。蒼銀の美しく細身があり鋭い剣。分類するなら
「まあ見なかったことにするか」
よくよく考えれば銃刀法違反だ。鞘に納剣するとすっと消える。
「えっ!?」
その突然の出来事に思わず声が出た。ただそれだけではない事は何故かハッキリと理解できている。
銃や槍に斧など様々な武器種が脳裏に浮かぶ。それらの能力なども手に取るように分かる。
その時点で異常だと気がつくべきだったのだろう。立ち上がろう急な事で転んだので立ち上がろうとした瞬間にソレは起こる。周囲に極彩色の光が照り円幾何学模様を書く。その上で俺自身の身を包み浮遊を始める。
「おいおいマジかよ」
この現象そもそもには驚くがコレが何であるかは理解出来てしまっていた。
理由としては単純だ。両親が作家で遺品として大量の書籍がありそれを日々読み漁っているからだ。
「勇者召喚?」
そう呟いた瞬間に俺は意識を失う。
同時刻
日本各地で極彩色の光の柱が出現したことが確認された。ただし周囲には何も被害が出ておらず原因不明の発光現象とされた。
ただしその裏で発生した10人の少年少女の行方不明事件は各家にて隠蔽された。
【神界にて勇者召喚術式及び世界渡りの発動を確認】
【対象者を該当惑星・地球から救済指定惑星グルカルトへと転送】
【生体情報をグルカルト式へと編纂】
【現在の能力をレベル1としての基礎能力として固定】
【暫定的スキル並びに勇者召喚特典などを付与】
【対象者に特典内包【
そんな声が聞こえた気がした。
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