第36話

「双子の片割れって、なんで死ぬんだっけ?病気?彼女はどっちが好きだった?」


「い、伊能君。僕学校に居る時から、教えてあげなきゃって思ってたんだけど……病気で死ぬんじゃないよ。スポ根でも無いし、陰陽師でも無いし……」


「……じゃ、彼女はどっちが好きだったの?」


 伊能君が笑みを消して見つめた。なんてつぶらで綺麗な瞳だろう……。

 十朱君は囚われる様に魅入られた。


「……ど、どっちだったかなぁ?覚えてないや……」


「ふーん?……じゃ君は?君は好きだったの?」


「えっ?」


 十朱君は間近で見つめ合う、それは吸い込まれそうな、伊能君の瞳に酔い痴れて言った。


「東西南北ちゃん……」


「えっ?」


 そして目覚めるように、目を大きく開けた。

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