高台先生

第13話

「伊能君……」


伊能君は高台先生と机を挟んで対座して名を呼ばれたので、先生の目をジッと見入った。


「先ずはその髪を、どうにかしないとね」


高台先生が、ハサミを手にして立ち上がった。


……えっ?マジで?……


伊能君はちょっと青ざめて、高台先生を見上げた。


「せ、先生。町田さんの話し聞いてなかったの?」


「なにそれ?」


「髪を切ろうとしたら、先生吹っ飛ばされるよ」


「馬鹿馬鹿しい……」


嘲る様に先生は笑うと、立ち上がって後退りする伊能君の長髪を掴んだ。

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