第2話

さてそんな伊能君と、高校二年生になって初めて同じクラスになった十朱真澄は、隣の窓際の席でそれは気持ちよさそうに、寝入っている伊能君に魅入っている。

腰まで届きそうな長い黒髪を、窓から差し込む陽の光がキラキラと艶を放って美しく輝かせ、その長い睫毛がピクピクと動いて可憐だ。


「伊能君」


そんな見惚れている十朱君の傍に立って、担任の高台先生が伊能君の席を中指で叩きながら名を呼んだ。


「伊能君」


数回名を呼ばれて瞳を開ける伊能君。

もはやその頃には同級生達の、クスクスと笑う声や微かな囁きなどが聞こえた。

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