僕の神技物語

総督琉

僕の神技物語

僕の名前は洗井。そして神技クラブの部長である。なぜ僕がこんな部活を作ったか。それは全ての部活を倒し、頂点に立ちたかったから。


だがメンバーは…


「洗井先輩」


この紐川ひなたという女と、弓島射花いるかという女だけ。


「なあ。お前らの得意なことは何だ?」


わたしはあやとり」


「射花は弓道が上手いよ」


射花は良い。弓道部を倒す時の戦力となる。だがこの学校にあやとり部は無い。だからひなたはあまり必要ではない。ただのお色気担当だ。


「射花。弓道部倒しにいくぞ」


「いえ。私は弓道部に所属しているので不可能です」


この部活はただの仲良し同好会みたいなもので、こいつらとはただの幼なじみ。


それに射花は弓道があまり得意ではない。射花は今まで一度も的に当てたことが無いんだ。


僕の部活を倒すという目標がどんどん遠のいていくんだ。


くそ。このままじゃ一つも部活を倒せない。そこへ…


「洗井はいるか?」


「ああ。僕だけど…」


この部室に謎の男が入ってきた。


「お前。全ての部活を倒すらしいな。だから俺様が倒しに来てやったよ」


「名前は?」


「野原速人」


名前を聞いておいてよかった。こいつは野球部の3年だ。だからこの戦いを受ければ3人対9人のくそバトルが始まる。


「僕はその戦いを受けない」


もちろん断った。だが…


「受けなければ、お前らの部活は活動が一年無いということで、廃部になるぞ。それにどうせお前じゃどの部活も倒せねーよ」


そして速人という男は帰っていった。


ひなたと射花はムカついている。


「洗井。あいつをブッ飛ばしに行くぞ」


射花はどこから持ってきたのか分からない包丁を手にし、洗井のもとに行こうとした。


僕は必死に止めた。


「射花。あいつを倒すには、最低でも6人必要だ。だから今はその6人を集めよう」


そして皆で集めることになった。とは言っても僕の知り合いはロクな奴がいない。


「ポー。ちょっといいか?」


僕はパソコン部のポーを呼び出した。そしてポーに事情を話し、ポーを野球に誘った。ポーはオッケーしてくれた。だがこいつはただの人数稼ぎにすぎない。


そして部室に戻ると、やけに騒がしい。開けるとひなたと射花が多くの人を集めてくれていた。


「あ! 洗井先輩。紹介しますね。こちらが剣道部主将。剣道立花りっか


「よろしくお願いします」


剣道立花はとてもカッコよく、可愛い。それにこの人は有名で、女性なのに男性を何人も素手で吹き飛ばすほどの超人だ。


「俺は玉井けい。テニス部の主将。そして剣道立花の元カレだ」


言わなくて良いだろ。だがうらやましいな。こんな美人と付き合えるなんて。


僕は剣道立花の体をジロジロと見ていると…


「ちょっと…何見てるんですか…」


立花は恥ずかしそうに体を隠した。立花は体を隠しているせいで、余計にボディラインが強調されている。


「ああ。ごめん」


「次はオレだな。オレはギター初めて13年。茶畑ちゃばた輪。戦力になれるか不安だけどモ、YoロSiクよろしく


チャラい感じの人だ。


Meミー球井たまいたく。3年前まで外国で卓球をしてたんだ。だから少し君たちの知らない言葉使うけど、ヨロシク」


少し外国語が入ってきてるな。


「わいは陽谷ようやだん。バレーボール部主将。よろしくな」


ってかこいつら、人脈ありすぎだろ。


「じゃ…じゃあ早速野球の練習を始めようか」


そして僕たちは練習を始めた。だが…


「立花。野球は剣道の棒で打つスポーツじゃない」


立花は生まれてからずっと野球を見たことが無いらしい。だから剣道の棒でうとうとしてる。


だが問題児は立花だけじゃない。


「軽。なぜテニスラケットで打とうとしてる?」


「これしか無いから」


おいおい。これじゃ野球が成立しねーぞ。だがこいつらは僕の言うことを一切聞かない。


「Yo。Yo」


輪はずっとチャラいままだし。


「野球ってのは素手で打つスポーツだぜ」


弾は素手で野球のボールを打ち返してるし。


「サー」


卓は卓球のラケットでボールを打ってるし。


洗脳しようと思ったが、ひなたと射花があんなに楽しそうにしてるから…いいかな。


そして神技クラブと野球部の戦いが始まった。


「行くぞ。神技クラブ」


「おーーー」


そして野球が始まった。今回のルールは特別で、ずっとこちらの攻撃だけ。皆一回ずつ打って点をとればこちらの勝ちが決まる。ルールはそれだけ。だから射花たちは自分の部の武器で野球をするつもりだ。


あやとりの上手い紐川ひなたは"あやとり"。

弓道部主将の弓島射花は"弓矢"。

剣道部主将の剣道立花は"剣道の棒"。

パソコン部のポーは"パソコン"。

卓球部主将の球井卓は"卓球のラケット"。

ギター部の茶畑輪は"ギター"。

バレーボール部主将の陽谷弾は"素手"。

テニス部主将の玉井軽は"テニスラケット"。


さあ、一番バッターは紐川ひなた。ひなたはあやとりでバッドを作った。


振るがあやとりなので空振りとなる。と思ったが、ボールがあやとりに絡まり、そのまま遠くに飛んでいく。


いきなり一塁かよ。


そして二番バッターの剣道立花は剣道の棒でボールを見事に打ち返し、一塁二塁。


三番バッターのポーはパソコンでボールを打った。がボールはパソコンに直撃にパソコンは壊れる。そしてボールは転がり、ひなたはアウトとなり、一塁だけ。


ひなたは落ち込んでいるポーをあやとりで縛って、振り回している。


四番バッターは茶畑輪。輪はギターでボールを打つがギターが壊れ、ボールが転がる。そして立花はアウトとなり、塁に誰もいなくなった。


立花は怒り、輪を剣道の棒でしばいている。


五番バッターは僕。僕は普通に全ての競技が上手いからボールを遠くまで飛ばし、二塁に向かった。


六番バッターは陽谷弾。弾は拳でボールをそら高く飛ばした。そして場外まで行きそうになるが…


「あいつは……野原速人!」


速人は軽快なステップでボールを楽々と掴む。


七番バッターは玉井軽。軽はテニスラケットでボールを打つが、ラケットに穴が開き、3ストライク。


八番バッターは球井卓。卓は卓球のラケットでボールを打つが、そんな小さいラケットじゃ力が入らないのか、ラケットが吹き飛ぶ。


卓は腕が痺れて動けないようだ。


そして最後の九番バッターは弓島射花。そこでピッチャーは野原速人に変わる。


「あいつだけは俺の手で潰してやる」


射花は弓を構え、ボール目掛けて射とうとしてる。


まずは1ストライク。


射花は集中している。


ーこの球は、外せない。私たちを、何より洗井先輩の夢をバカにしたあいつを許せない。


そして2ストライク。


「射花。頑張れよ」


ー洗井先輩だけじゃない。私は皆の希望を背負ってるんだ。だから…


そして最後のボールが投げられた。


完全集中パーフェクトタイム


ーこの一撃で、野球部を倒す。


そして射花は矢を放った。矢はボールに直撃し、内野と外野の間に転がった。


僕は必死に二塁からホームベースに走った。ここで点を取らなければ負けるからだ。


だが守備はすぐにボールを取り、ホームベースにボールを投げた。


ーここで終わるのか? やっと野球部を倒せるというのに。こんな所で…。


僕はやっと三塁に着いた。だがボールはホームベースの手に渡ろうとしてる。その時…一塁の射花が矢を放った。


「いっけー」


そして矢はボールに直撃し、ホームベースはボールを手にできなかった。そこを僕は飛び込んだ。


「一点………取ったぞおぉぉぉ」


僕たちのチームは皆ではしゃいだ。


野原速人は膝をつけ、落ち込んでいる。


「神技クラブに手に俺たちが負けたのか!?」


そこに射花がアドバイスしに行く。


「君には圧倒的に足りないものがあった」


「足りないもの。そんなもの、この完璧な俺にあるわけないだろ」


「それは楽しむ心だ」


「楽しむ!? それが何になる。結局勝たなきゃ意味がない」


「そうだ。結局楽しんだ者だけが、強いんだ」


そして射花は僕に抱きついてきた。


「射花。お前のおかげで僕たちは勝てた。ありがとな」


「うん。私こそ、こんな楽しい時間をくれてありがとう」


そして速人は…


「俺も…あいつらみたいになれるだろうか?」


「ああ。お前ならできる。だから…あいつらのもとに行きたかったら行ってもいいぞ」


「部長。いいんですか?」


「ああ。お前が行きたければ行けばいい」


そして僕たちは…


「皆、ありがとう。これからも…全ての部活を倒していく。だから、これからも…一緒に…いてくれるかな?」


「もちろん」


「当たり前だろ」


皆は迷わずに答えた。


「皆。僕はこんな幸せに巡り合えて…幸せ者だよ」

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