第3話悠真の場合の入学式3

 一緒に帰れるのかな?と内心ウキウキしていたが実際は校門を出て直ぐに家が真反対という現実につき戻された。

 付き合ってもいないのに、いきなり家まで一緒に帰るのはいささか変な気もするから校門で別れの挨拶をしてそのまま帰宅した。途中寄り道でコンビニにより紙パックのミルクティーを買ってきた。


 帰宅して手洗いを済まし自室に行き、堅苦しくて重い制服から解放され柔らかい素材の部屋着に着替える。

 そしてお風呂に直行。

 お風呂に直行するなら部屋着に着替える必要なくない?と思うかもしれないが、自室は3階にあり、風呂は2階にある。つまりこの自室から風呂までの距離をパンツだけで歩くのは中学生の妹が居るので事実上不可能である。

 もし見つかりでもしたらその謎の権力と傲慢さで殴られてしまう。

 なので、毎回こうして着替えてから脱衣場まで来ているのである。


 また、悠真にとって風呂場でのスマホは必須アイテムである。

 学校での疲れを癒すのは好きなアーティストの曲を大音量で流しながら湯船に浸かるのが最高なのである。


 昔のことだが、スマホを持ってお風呂に入ったら妹がいて「盗撮とか信じられない」と根も葉もないことを言われ、「次やったら消すから」とまで言われてしまっていた。

 まあ、そんな昔のことを今更思い出したって関係ないんだけどなぁ。



 スマホを持ってお風呂に入るとそこには、



 体を洗っている最中の妹が……。



 あ、今日は消されるかもしれない。




「……まずば弁護させてくれ」

 今俺はお風呂から上がり服を着た妹が目の前に憐れむような目で見られながら正座をしている。


「はぁ、弁護とかそういうのどうでもいいから」

 ご立腹でこれは消される……と内心焦っていると、

「いいよもう。貸しにして置く」

「まじか流石寛大な心の持ち主だ。お礼に今度もう少し色気のある下着を買ってやるから……」

 最後の言葉を言い切る前に脳が震え、視界が揺れた。

 義妹の本気のビンタを食らったのは初めてだった。

 ここからのことはもう……覚えてない


 5分程気を失うっていたらしい俺は歩くと揺れる視界が早く治ることを祈りながらお風呂にはいった。


 お風呂から上がり、自室に戻るとすぐにベットに飛び込みおもむろにスマホを弄り始めた。

 LINE、インスタのチェックやゲームなど今どきの高校生にはやることが多い。

 一通りやり終え、手から離しベットに置くとすぐに、携帯がLINEの効果音付きで揺れた。


 置いたばかりの携帯を手に取ると今日LINEを交換したあの胡桃さんからの、LINEだった。


「送れてるかな?よろしく〜」

 と絵文字とスタンプ付きで送られてきていた。

「こちらこそよろしくお願いします」

「なんでそんなにかしこまってるの笑。普通にタメ口でいいよ」

 女の子相手だとかしこまってしまう……俺の悪い童貞癖が出てしまった……。

「わかった!」

「出かける話だけど、いつ頃なら空いてるかな?」

「俺はいつでもいいよ。胡桃さんに合わせる」

「……だったら今週末はどうかな?」

「空いてるよ」

「じゃあそれで決定で〜。待ち合わせ場所とかはどうする?」

「最寄りの駅でいいかな?」

「うん大丈夫!楽しみにしてるね!」


 あーー緊張がぁぁあ。これってもうお出かけじゃなくて周りから見たらデートみたいなもんよな。いや、それは俺の考えすぎ……いやでも……はぁぁ

 最近よくため息つくようになったな。





 胡桃の入学式編に続く。

 デート回はこの後!

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