第541話 崩壊へ
重装備で豪華、さらに大きな軍旗もあるので、おそらくあれが敵の旗艦だろ。偉いさんがふんぞり返ってると思われるブリッジ部分に狙いを定め、魔光弾を連射する。
敵旗艦も対空砲で反撃してくるが、やはり飛行する魔導機に対する認識の甘さだろうか、砲撃速度も弾丸のスピードも遅く命中する気がしない。
軽く敵の砲撃を避けながら、敵旗艦のブリッジを集中的に攻撃して、完全に沈黙させる。締めに艦砲を破壊すると、他の敵艦へと攻撃目標を変更していった。
十隻ほど敵艦を破壊した頃合いには、敵軍の戦意は完全に失われていた。どういう経緯でクーデター軍に助力していたかは知らないけど、それほど強い繋がりや使命感はなかったと思われる。不利なのを確信するとほとんどの部隊は逃げ始めた。
「逃げる敵は無視していい。白旗をあげて降伏している者はとりあえず攻撃を止めてやれ」
ジャンが状況を見てそう指示を出す。リュベル側の戦闘も、レジナント将軍の師団の活躍もあり、終始敵を圧倒しているようで余裕がある為の判断だろう。
その後も敵に奇跡が起こることはなく、リュベル王国軍とヴァルキア帝国軍は完全にこの地から逃げ出し、後はクーデター軍だけとなった。
「結局、クーデター軍は動かないまま追い詰められたな」
ある意味一番厄介なクーデター軍の存在だったが、リュベルとヴァルキア双方と戦っている最中に介入してくることはなかった。
「リュベルとヴァルキアに任せて楽しようとしたんだろうが、どんどん状況が悪くなって動くに動けなくなっただろうな。まあ、それが結果、命取りだったようだけどな」
「命取り? 劣勢でクーデター軍に勝ち目がないってことか?」
「いや、戦いにすらならないだろうよ。もうあいつらは終わっている」
その後、ジャンの言うようにクーデター軍は戦わずに崩壊を始めた。頼りにしていたリュベル王国軍とヴァルキア帝国軍が崩壊したことによって、内部でひと悶着あったようだ。小さな戦闘すら報告された。
さらにダメ押しでラネルがクーデター軍に呼びかけをおこなった。それにより、もともと上からの命令だけでクーデター軍として動いていた下士官以下の兵たちが離脱していく。
「この戦いの情報が広まれば、連邦内のクーデター軍は勢いを失い、正規軍が息を吹き返すだろうよ」
「ここからは私の仕事です。連邦をまとめ、崩壊した秩序を回復させます」
「回復させるだけじゃダメだな。今回の内乱の根を全て取り除く必要があるだろう」
「わかっています。内部調査機関を作って対処するつもりです」
まだ終わったわけではないけど、どうやら良いう方向には向かいそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます