第456話 侮り/クルス

峠入り口で目標である魔導機を捉えた。金色の派手な魔導機で、目立ちたがり屋の見世物ライダーが好むような色物魔導機で、とても強そうにはみえなかった。


「レイナ、貴方が強いと言う魔導機はあの金色の魔導機かしら」

「そうよ、見た目はあれですが、攻守に優れた魔導機で、ライダーも少なくてもダブルエクスランダーくらいの力はあると思います」

「そう……私にはそのようには見えませんけどね。まあいいです。どんな相手だろうと、これから倒す事にかわりはありません。私は上空から強襲しますので、レイナは地上から攻撃を開始してください」

「わかりました」


レイナは今でこそ十軍神の一人としてもてはやされているけど、元はどこの馬の骨ともわからない下賤の者、おそらく大袈裟に相手を過大評価しているだけろう。私が参戦したことで簡単に倒せてしまった後、なんというか見ものである。


上空から金色の魔導機を攻撃しようとしたけど、敵の陣地からうっとおしいアローの攻撃が飛んできた。弱者のアローなど放っていても問題ないが、目障りな虫などは徹底的に叩く私はそれを無視できなかった。ちょっと散歩の途中で露店に立ち寄る感覚で、このドミニオンに手を出した代償を支払わせる。


ある程度、弱い魔導機を粉々に粉砕して満足したので本命である金色の魔導機にターゲットを戻す。みると、すでにレイナと親衛隊が攻撃を開始していた。上空への警戒はなく無防備のようだ。狙い時を逃さない。高く舞い上がり攻撃態勢に入ると、金色の魔導機目掛けて一気に急降下した。


金色の魔導機はレイナたちの攻撃に集中していた為か、無防備にドミニオンの槍の一撃をまともに受けた。そう、確かに攻撃はクリティカルヒットした。しかし、結果はターゲットの完全破壊ではなく、ただ吹き飛ばしただけだった。


「嘘でしょ!? 今ので装甲すら破壊できなかったの!!」


信じられない結果に少し動揺する。まさかこれほどまでに防御性能の高い魔導機があるなって……。


倒れた金色の魔導機にレイナたちが一斉に襲い掛かる。金色の魔導機は防戦一方となるが、シールドや武器を使い攻撃を防いでいる。


十軍神専用機であるアフロディテを含む、エクスランダー級の魔導機に一方的に攻撃されても、金色の魔導機は耐えていた。この状況を見せられれば、驚異的な防御力は認めないわけにはいかないだろう。


しかし、だからといって倒せないレベルではない。今度は致命傷を与える! 私は念入りにルーディア集中すると上空に舞い、先の一撃よりさらに加速して勢いをつける。急降下しながらアタックブーストを発動してさらに攻撃力をあげた。


イメージでは金色の魔導機を粉砕する一撃であったが、驚くことにこの攻撃すらも金色の魔導機は耐えた。この私の想定の上をいく結果に、徐々に焦りが出始めていた。

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