第428話 ファルマを追って
メルタリアの件はジャンやアリュナに任せて、俺はアルレオ弐でルダワンに向かった。途中、言霊箱でファルマに連絡をしようとしたが、アリュナたちの説得でかなりしつこく通信したにうんざりしたのか、完全に通信を遮断しているようで通話ができない状態になっているみたいだ。
「フェリ、ルダワンにはどれくらいで到着できる?」
フェリのデータベースには最新のマップが登録されている。アルレオ弐の飛行能力や距離などから所要時間を計算してくれる。
「エーテルを補充しながらいきますので最低でも32時間はかかってしまいます」
「一気に行くのは無理なのか? エーテルポッドで補充すれば大丈夫だろ?」
「残念ながら距離的に連続飛行の限界を超えています。それにエーテルポッドは現地での戦闘時の補充に備えていた方が良いでしょう」
「そうか……」
ファルマがどのような行動をとるか予想できない。取り返しのつかないことになる前に到着したいのだが、物理的に難しそうだ。
一回目のエーテル補充休憩中に、エミナから通信が入った。どうやらアリュナから俺がルダワンに向かっていると聞いたようだ。
「勇太、今どの辺なの?」
「え~と……フェリ、この辺ってどこらへんだ?」
「ラドル中立区の北部周辺です」
「だそうだ」
「もうそんなところなの!? やっぱりアルレオ弐は早いわね」
「そっちの状況はどうなんだ」
「高速ライドホバーで追ってるけど、ファルマのガルーダⅡにはそれでも全然追いつけない。飛行能力だけならアルレオ弐より早いかもしれないわね」
「そんなにパワーアップしてるのか!」
「ラフシャルいわく、ファルマは飛行適正が高いみたいだから最大限に飛行能力を強化したみたい」
それほどの強化をしていなければ、なんとか追いつくことができたかもしれない。だけど今さらそんなことを考えてもしょうがない。今はファルマが無茶をしないことを祈るだけだ。
「勇太! ファルマは自分の手でベルファウストさんの仇を討ちたいんだと思う。エリシア帝国の軍はすでにルダワンを包囲しているから、その仇が処刑されるのも時間の問題……だから、一人で向かったんだよ」
ナナミがアリュナですら知らない情報を言うので驚いた。
「ちょっと待てナナミ、仇ってなんのことだ? ルダワンじゃないのか」
「違うの、あのベルファウストさんが死んだ件を裏で手を引いていた人物がいたんだよ」
「どうしてそんなこと知ってるんだ!?」
「実は無双鉄騎団もかなり強くなったし、アムリア連邦の件とか、蘇生とかの問題が片付いたら、そろそろルダワンに一度戻ろうかって話をファルマとしていたの。でも、実際のルダワンの力と情勢とかわからなかったから、アリス大修道院に調査をお願いしていたんだ。お願いするとき、シスターミュージーにはベルファウストさんの件とかの話をしていたから、気を利かせてそれも調べてくれたの」
「そんな大事な事、どうして俺に相談しなかったんだよ」
「勇太は忙しそうだったから、情報が入ってから話そうってファルマと話をしていて……」
どうやら二人は忙しい俺を気遣って変な悩みを増やさないように、情報が整ってから話そうと思っていたようだ。確かに色々忙しかったけど、ベルファウストさんの件は俺にも大事なことなので話して欲しかった。しかし、二人に悪気があったわけではないので怒る気もなく、本来、俺が率先して動かないといけないことなのにと反省する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます