第398話 最後
天井を突き破って巨獣が地下空間へと侵入してくる。このままではジャンたちが危ないのですぐに助けに向かう。
巨獣は天井を破壊しながら地下へと降りてくる。そしてノソノソとジャンたちの方へと向かう。ジャンとエミッツとミルティーは小さなガーディアンと戦闘しながら巨獣から離れようとしていた。
「ジャン!! 後ろへ走れ!」
俺はジャンたちを守るように巨獣の前に躍り出る。迫ってくる巨獣はアルレオ弐の姿を見て動きを止めた。やはりさっきの一撃が効いたようで強敵として認識したみたいだ。
「勇太! あのテラスのところにデミウルゴスがいる! 逃がすんじゃねえぞ!」
ジャンが言う場所を見ると、確かに人が立っているのが見えた。
「ハハハッ── 巨獣よ! 核融合液ごとそいつらをぶっ壊してしまえ! そして私が天才であることを証明するのだ!」
デミウルゴスはまた、よく分からないことを言い出した。それに対してフェリが反応する。
「デミウルゴス、あなたは相も変わらず自分以外何も見えていないようですね」
その言葉を聞いて、一瞬、デミウルゴスの反応が止まる。しかし、一呼吸して驚いたようにこう言った。
「フェ、フェリ・ルーディアなのか!? まさか……貴様は消滅したはずではなかったのか!」
「やはりあの磁力攻撃はあなたの差し金だったのですね。残念ですがあの時にはすでに、あの記憶媒体には私はいませんでした。危険を察知した仲間に逃がされていたのです」
「くっ……まあいい……ならばここでこの私、自らの手で葬ってくれるわ!」
「あなたの手? 巨獣をけしかけてるだけではありませんか」
「うっ、うるさい!! その巨獣は私が完全にコントロールしている! ならばそれは私の力だ!」
「ふっ……SSSクラスの巨獣を貴方ごときがコントロールすることなどできはしませんよ」
「ふんっ! 現実を見ない愚か者め! 現にこうして巨獣は私の命令をきいているのではないか! 巨獣よ! そいつらをさっさと殺してしまえ!」
しかし、巨獣はこちらに向かってこず、デミウルゴスの方をギラリと睨みつけた。そしてゆっくりとガラス張りのテラスルームへと近づいていった。
「何をしている! 私はそいつらを殺せと言っているんだ! この! この! ゆうことをきけ!!」
「デミウルゴス。あなたが有り余る才能を持ちながら結果を残せないのは、物事の本質を理解しようとしていないからです。巨獣がここに来たのは指示に従ったのではありません。自分に命令する不快な電波の元を絶ちに来ただけです」
「なんだと!! そんなばかな! ま、待て! やめろ! 私はお前のご主人だぞ!」
その声を無視して巨獣はさらにガラス張りのテラスに近づく。そして、怒りをぶつけるようにそこに強烈なブレスを叩き込んだ。悲鳴さえ聞こえなかった。一瞬でデミウルゴスがいた場所は消滅する。
「哀れな科学者です……」
フェリは昔から知っている者の死を見て、多少の哀れみをみせた。
しかし、デミウルゴスが死んでも巨獣の脅威が消えたわけではない。失った下半身もほとんどが再生されていた。
「リンネカルロ。ジャンたちを連れてここから離れてくれ」
一緒に戦いますわ、とか言いそうだったが、ジャンたちの保護も大事なのは理解しているのか、渋々それを了承した。
「勇太、爆発物には気を付けて下さい」
「わかっている。巨獣には何もさせない。今度こそ一撃で倒す!」
さっきの攻撃では半身を斬り飛ばすのがやっとだった。あの程度ではダメだ、もっと集中力を高めて、さらに強力な一撃を……意識を研ぎ澄まし、力を奥底から絞り出す。大きいだけではダメだ、もっと良質な力を振り絞る感覚……── そんな感じで気合を入れているとオーラソードの青白いオーラがさらに大きくなっていき、さらに色が変化していった。オーラは青白から金色へと変わっていく──
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます