第15話 交渉

ジャンを連れて、俺たちは予定した商人に宝石を見せてその値段を聞いた……


「全部で1000万だね、良い物もあるけど、粗悪品もあるからそれくらいだね」


とりあえず商人にはちょっと考えると言って断り、ここからはジャンが交渉することになった……そして俺たちはジャンの実力を知ることになる……


ジャンはウロウロして交渉する商人を探した……そして一人の商人をターゲットにして、宝石を見せて交渉を始めた……


「おいおい、この宝石で1500万だと……冗談は顔だけにしろよおっさん……これはエメルダの十号、こっちはファイファアのA級品だぞ、この二つだけで捨値で1000万は超えるのに、全部で1500万……それ本気で言ってんの? ああ……なるほどね、あんたはそう言う商売してるんだ……俺にも商人の情報網があるけど、え〜と、リンベルトさんだっけ、あなたはこう言う商人だって言わせてもらうわ」


ジャンがそう言うと、リンベルトさんは青い顔になってこう提案してきた……

「わかった……2000万でどうだ、それで買い取らせれもらうよ」

「……まだわかってないのかリンベルトさん……俺はこの宝石の売値を知っているんだぞ……わかるよな……」

「す……すまない……3000万で買い取るよ……本当にそれが限界だ……それで勘弁してくれ」

「よし、売った!」


最初に話しかけた時点ですでに二割以上を達成していたが、そこからの交渉で、三倍もの値段で宝石を売ってくれた……最初は怪しい人だと思ったけど、本当はいい人なのかな……


3000万の一割、300万を受け取りながらジャンはこう言った……

「おい……俺をいい人だと思ったんじゃねえだろうな……甘めえな……違うぞ……俺は口を動かしただけで、この300万を手に入れた……もともとはこれすらお前らは払う必要はねえんだよ……お前らがボンクラだと気がついて話しかけて、こうして見事、この金を手に入れたんだよ……」


「確かにそうかもしれないけど……もし、ジャンがいなかったら俺たちはもっと損をしてたから……本当にありがとう」

「……たくっ……だから甘ちゃんだななんだよ……それで、その金で何するつもりなんだ」

「魔導機を買おうと思ってる……」

「ほほう……お前、ライダーなのか?」

「まあ……」


「ふん……その調子だとまた騙されそうだな……よし、乗り掛かった船だ、どうだ、もう一度俺を雇わないか」

「何をしてくれるんだ」

「魔導機の購入の交渉をしてやる、安くて良いものを買ってやるよ」

「ジャンの報酬は?」

「まあ、それはいいわ、サービスだ、さっきだいぶ儲けさせてもらったからな」


凄く助かる提案である……だが無報酬とは……ちょっとそこは気がかりであった……


「起動ルーディアはどれくらいの魔導機を探してるんだ」

「1万以上のを探してる」

「嘘だろ……お前、ハイランダーなのか?」

「いや、俺じゃないけどね……」

「そのお嬢ちゃんたちのどっちかがハイランダーなんだな」

「まあ、大きな声じゃ言えないけど……」

「だけど……ちょっとお前の予算だとハイランダー用の魔導機は流石に無理かもしれないな……」

「そんなに高いの?」

「ああ……安くても一億はすると思うぞ……」

「うっ……全然足りない……」


「う〜ん……一つ手がないこともない……」

困っている俺を見てジャンがそう言う。


「どうするの?」

「その金を元手に増やすんだよ」

「増やす? どうやって……」

「コロシアムだよ……剣闘士て呼ばれてるライダーたちを知ってるか?」

「いや……知らない……」

「金を賭けて魔導機同士が戦うんだ……ハイランダーなんて剣闘士には滅多にいないから、大儲けできると思うぜ」


なるほど……確かにいいかもしれない……俺はルダワンの正規軍を倒した実績があるし……勝てるような気がしてきた……


「どうやったらコロシアムで戦えるんだ」

「おっ乗ってきたな……俺に任せときな、儲けさせてやるよ」


俺はハイランダー用の魔導機を購入する為に、コロシアムで戦うことになった……

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