ヤンデレヒロインを詰め込んだ短編集。

門崎タッタ

ヤンデレ幼馴染と執筆活動 1

 スマホの画面を見ながらため息を吐く俺の名前は羽田麦はねだむぎ。県立の進学校に通う高校一年生だ。

 俗に言うオタクである俺は幼い頃からライトノベルを大量に読んでいた。中学校時代には自分もラノベを書きたいという思いから数多の設定を考えた上で脳内でプロットの構想を練ったものだ。


「…今日もpv数は0……か…」 


 高校生になって念願のスマートフォンを手に入れた俺は「カクヨム」というサイトでファンタジー小説を連載しているものの、一向にpv数は増える様子を見せない。

 

 典型的な異世界ファンタジー物で俺Tueeeeな主人公が美少女ハーレムを形成する男のロマンが詰まった話で個人的にはかなり面白いと思う。


 しかし、至って平凡なタイトルから読者の興味が惹かれないのか、全くpv数が増える様子はない。

 どんなに面白い作品でも見てもらえなければ評価の下しようがない。続きを執筆するモチベーションも上がらずに俺はこの作品を非表示にすることも検討しつつあった。


 一抹の望みをかけて次のエピソードを投稿すると、投稿した矢先にpv数が増えて、応援コメントと共にハートが一つついた。俺はとてつもない喜びを胸に即座に応援コメントを確認する。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

異世界最強な俺のハーレム物語!

第二十八話


物語自体はとても面白いです!でも、ハーレムだと、幼い頃から主人公を想っていた幼馴染の女の子が可哀想なので主人公の男の子はもっと幼馴染の女の子に目を向けるべきだと思います!


4月12日 Toriko


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 ……そんな俺が執筆活動を辞めない理由の一つが俺が最新話を投稿する度に真っ先に応援コメントを送ってくれるこの人の存在だ。


 ユーザー名はTorikoさん。この人のカクヨムでのアカウント情報を確認したが、どうやら俺以外の人の作品を一切フォローしていないようだ。

 そのため、執筆を始めた頃は俺がカクヨムで執筆活動を行っていることに感づいた友人の悪戯だと思ったが、Torikoさんは有難いことに毎回応援コメントをくれるため悪戯の線は限りなく薄いだろう。


 逐一送られる応援コメントを一つ一つ確認すると、Torikoさんはかなりハーレムが嫌いなようでヒロインの一人である主人公の幼馴染が一番の推しのようだ。

 少しでもTorikoさんのニーズに応える為に物語上では、かなり幼馴染を優遇している。


 三ヶ月更新を続けても、星の数はTorikoさんがつけた3つしか無いが、この広い日本の何処かに、たった一人でも俺の作品を楽しんでる人がいる。と、考えると自分の口元が緩むのを抑えられなかった。


 

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