東京のはずれの街でへの応援コメント
私のような凡人がこんな素敵な作品について感想を述べることがおこがましい。
ひっそりと読後の高揚に浸っていようと思ったのですが、それでもつい我慢できずにコメントしちゃいました。
女性側の描かれ方が素敵なのは当然ですが、男性側の別れることにした経緯が、描かれていないのに想像できちゃうのが凄いです。
レビューも書きたかったのですが、逆に作品を汚すことになったら大変だからと陰ながらの応援でした。
作者からの返信
田仲様、ご返信が遅れましてすみません!見落としておりました...
作品は発表した瞬間から私の手を離れるものだと思っておりますので、それぞれの解釈や感性でコメントを頂けるのが何よりも嬉しいです!ありがとうございます。
今後もよりよい作品を生み出せるよう、より一層精進して参ります!
東京のはずれの街でへの応援コメント
こんばんわ。
読ませていただきました。
こういう描写の上手な人の小説は読むと勉強になります。
國枝様は描写もお上手ですが「描写しない」こともとてもうまい人だなと思いました。書かないことによって書いてあることを際立たせて、なおかつ作者の意図どおりの想像を読者にさせる。これはなかなかできることではありません。
センテンスとセンテンスの間から空気感とか文中の書かれていない部分への想像が広がりますよね。
作者からの返信
こんばんは!
読んで頂き、素敵な応援コメントとレビューまで、本当にありがとうございます。
普段短編を書く際に意識していることを、まさにずばりと言い当てられていて、とても驚いています(笑)
込めたい思いや言わせたい台詞、挟みたい描写、こういう書きたいと望む全てを書くことは出来ないので、「書く」ということは、「書かない」ことを選んでいく作業なのだと思います。
それでも「書けなかった」ことを読者が想像する余地を残してあげる。描写を描写していないことを連想させるために使う。
そういうことが出来ていたらとても嬉しいですし、出来るように今後も精進して参ります。
実力のある方に素敵なコメントを頂けて、とても舞い上がっています(笑)
重ねてお礼を申し上げます。
東京のはずれの街でへの応援コメント
この『京王線』は恐ろしくよくできた小説です。随所にちりばめられた表現のうまさはもはや言うまでもないので割愛します。
この小説は単なる表現の羅列じゃない。構成として「やばい」のです。
以下、私の感想兼読解をつらつら書かせていただきます。
まず、この『京王線』、導入がいい。
<「昔の話なんてしないでね」
と言うと、慎重だなあ、と彼は笑った。>
これだけで、二人の関係性が浮き出てくるみたい。二人がもう「終わった」関係だという事。でもまだお互いにとって大切な人であるという事をにおわせます。
由佳の人間性の描写もすごくいい。
<「正しいかとか幸せかとかなんて、そんなに重要なことかしら?」>
<なんでかも、なにがかもわからないけど、きっと彼にはほんとうにわかっているのだろう、と私は思った。>
<嬉しいとも、悲しいとも、嫌だとすら思わなかった自分に少し驚いた。>
<それをいいともわるいとも思っていない声で。>
<でも、たぶん笑うことと泣くことは、深いところでは同じことだ。>
<忘れることなんてなにもないわ。あるいは、忘れられることなんて。>
このあたりの表現で、由佳の「はっきりしない」というか「中間の状態に身を置こうとする」というか、より端的に言えば「不安定」な性格が垣間見えます。
<「私ね、奥さんと子どもがいる人と付き合っているの。すごく穏やかな人でね、だれにも興味がないから人に優しくできるのかなとも思うけど、きっとほんとに優しい人なんだと思う」>
不倫の相手も由佳を「中間」・「不安定」でいさせ続けてくれる人間のようです。
この性質はおそらく由佳の祖母の影響が強いことが分かります。
<それでも、由佳の好きにしたらいい、としか祖母は言わないだろう、と思う。>
<言ってはいけないことを言ってしまいそうになったときには、笑ってしまいなさい、というのが、祖母のほとんど唯一の教えだった。>
(ちなみにこれが
<「でも」
でも、幸せだったわ、と言いかけた。言ってしまったらもっと悲しくなってしまうと思ったから、あわてて口をつぐんで、
「なんでもない」
と笑った。>の伏線回収であることは明らかでしょう。これもまたニクい演出です)
では、このように「中間」を求める由佳がどうして「彼」を好きになっていたか。
<彼はなにも言えないとき――あるいはなにも言わないほうがよいとき――きちんと黙っていられる人だった。>
<お葬式のとき、彼は隣に立っていてくれた。泣いてもいいし、別に泣かなくても――あるいは泣けなくても――いいんだよって顔でいてくれたのが、私は嬉しかった>
「中間」でい続ける不安定な由佳を、そのまま肯定してくれる。由佳の性質を丸ごと受け入れてくれる「彼」を、由佳は好きになったのではないかと推察できます。
しかし、由佳はもう「彼」とは別れてしまいました。「中間」・「不安定」な彼女をそのまま抱きしめてくれる「彼」はもういません。
<意味なんてない、またね、を言って、>つまり、「もう会うつもりがない」ことを感じさせながら、由佳と「彼」はわかれます。
これははっきりした決別です。「彼」という過去の安らかな居場所を捨て去って、由佳は「不安定」な「今」に飛び込む決意を固めます。
ここまでこの感想を読んでくださった方は、もうお分かりのはずです。この小説のクライマックスの意味が。
<目にかかった前髪を軽く払って、ワンピースの裾を少し直して、電車を待つ。
なんでもあって、なんにもない場所へと私をつれ帰っていく、京王線を>
……ほら、やばいでしょ?この小説。
作者様、お願いだからこれで天狗になって小説の研鑽をやめ、のほほんと暮らしていてください。
そうでないと私、追いつけませんので……。
作者からの返信
拙作をお読み頂き、レビューとこんなに深い読解まで、、
本当にありがとうございます。
この「京王線」は、きっと人によってはとても読みにくく感じてしまう作品なのだと思います。
なにしろ主人公の由佳自身が、どうしようもなく不安定で、幾つもの矛盾を抱え続けて生きているのですから。
人は誰のものにもなれないことを知っていながら、それでも誰かのものになりたくて足掻いてしまう。
恋をするなんて無謀なことです。
でも由佳は勇敢にならざるを得なかった。
どんな感情も言葉にした途端に自分のもとを離れます。
どんな狙いを持って作品を書いてみても、それが誰にどう作用するのかをコントロールすることは、作者には出来ません。
でも、1103教室最後尾左端様は、私が書きたかったことを過不足なく捉えて、中心にそえたかった本質を確かに感じてくださった。
本当に作家冥利に尽きます。
いやいや、天狗になるほどの筆力はまだまだありません(笑)
よりよい作品をどしどし書いていけるよう、精進して参ります!!
素敵な応援コメント、本当にありがとうございました。
重ねてお礼を申し上げます!
東京のはずれの街でへの応援コメント
人はみな天涯孤独だと言うのは、まさにそうだなと思います。というか、自分自身それを基準に生きています。昔それを人に言ったら笑われましたが、由佳さんが同じ思いを言葉に乗せてくれて良かったです。
『まるで、死まで一直線に繋がっているベルトコンベアにでも乗せられてしまったかのようだった。』
という表現が好きです。
死はとても無機質ですね。人間は今まで有機的に生きてきたというのに。
普段こう、フラーッと特に意味もなく読みに行くときは、大概そこに『今の自分に必要なもの』があったりします。
不幸でも幸福でも、正解でも不正解でもない。好きでも嫌いでもない。
刹那の中に生きている。どうせ人は、刹那の連続の認識を『永遠』なんて読んで見せるけど、全部まやかしだ。
意味はあるようでないし、ないようである。
そのようなものを受け取りました。やはりありました。今の自分に必要なもの。
京王線と言うタイトル。
読み終わった後に見て見ると、なんとも哀愁が漂っていますね。
単語一個のタイトルってなかなか難しいですけど、ピタッとハマったときに強いですよね。
そして、タイトルに負けない力のある短編でした。ありがとうございました。
作者からの返信
読んで頂いた上に、私の作品よりずっと素敵な感想まで、、感激しております、ありがとうございます。
私もいつも、人には言ったら笑われてしまうような思いを抱えて生きています。
その思いの存在をそれでも誰かに認めて欲しくて物語を作ります。
言葉に依存しているのです。
きっと、自分の思うこと、その全てを誰かに言えてしまう人には、文学なんて必要ないのでしょうね。
恋をするなんて無謀です。
でも由香はそう分かっていながらも、勇敢にならざるを得なかった。
感情は言葉にした途端に自分の手を離れると思っています。
どんな狙いを持って生み出しても、それが誰にどう作用するのかは分からない。
でも、今回の物語の核がきちんと誤差なく伝わっていることが分かって今、とても嬉しいです。
実はタイトルは幾つか候補があって、最後までとても迷ったのです。
そう言って頂けて本当に良かった。
この感想がそのまま一本の小説になるような、素敵な言葉でした。
本当にありがとうございます。
東京のはずれの街でへの応援コメント
そこだけ空気が切り取られているようでとても不思議な感覚で読めました。その裏に抱えているのは倫理とどうにもならない気持ちの混濁ですね。ふんわりしているんだけれど、どこかどしんと重い。その対比がとても良かったです!
一つだけ……。―(ダッシュ)がー(長音符)になっているのかな? そこだけ気になりました!
作者からの返信
その通りなんですよね、、矛盾だらけの気持ちを抱えて、それでもやっぱり「今」を生きていかないといけない。
二人がこれまで重ねてきた過去と、これから先向かっていく未来についても思いを馳せてお読み頂けると嬉しいです。
うおおおお、その通りだ、、(笑)
修正致します!
素敵な感想と修正箇所まで!ありがとうございました!
東京のはずれの街でへの応援コメント
最寄駅が京王線の駅なので、題名に惹かれて読んでみたら……正直、何か凄いという感想でした。
何かが凄い、それは分かる。
でも何が凄いか、それは分からない。
コメントを流し見て、一番下に現代文の解説のような説明を見つけ、読み、唸りました。
もう一度始めから読み返すと、自分の読解力の低さに驚きつつ、一文一文に込められた意味、役割に驚き、唸りました。
何度も何度も唸った結果、この話の自分なりの凄さを言わせてもらいます。
この話は、なによりも書きたいことを文に起こす表現力がずば抜けてるんだな、と。
素晴らしい話をありがとうございました!
作者からの返信
やまもン様、コメントありがとうございます!
短編は、どれだけ読者の皆様が自由に想像できる余地を残せるか、というのが大事な事だと思っておりますので、大切に読み解いて頂けてとても嬉しいです!
表現力...!まだまだですがそう評価して頂けてニヤけが止まりません(笑)
今後もより一層精進して参ります!