春夏の誕生日プレゼント
俺の誕生日と春夏の遅れた誕生日と月1回の食事会を1週間前に控えたある日。
俺と夏美は、大型ショッピングモールにあるペットショップに顔を出していて、春夏の誕生日プレゼントを選びに来た。
歩いてる最中に視線が向いていたけどそれはきっと可愛い子と普通が歩いているのが不思議だったのだろうな。
でも、女性の目線も感じたのは何故?
夏美さんは女性にも人気なのかしら?美少女って最強だな。
「………ル。ねぇ、ハル!」
「うわぁ、びっくりした。どうした夏美?」
「『どうした』じゃないよ。春夏のプレゼント選んでるのになんかうわの空なんだもん。私とじゃ楽しくない?」
「本当に悪い、そうゆう訳じゃないんだ。ただ、さっきから視線が凄くてな。男女構わず人気があるんだなって思ってさ」
「ハルが?」
「なんで俺なんだよ……夏美に決まってるだろう。男は、俺にきつい視線を感じるし、夏美には微笑ましい視線を感じる。女子は夏美に視線行ってるし」
「今は、そんな視線なんてどうでもよくない?今大事なのは私達の大事な春夏の誕生日プレゼント選ぶことなんだから。ね♪」
「頼むから、外では言い方を考えてくれ。さっきの言葉は絶対に勘違いする奴も出てくるからな?」
「でも、大事なのは変わりないでしょ?隠すことでもないし」
あの、夏美さん?それ言っちゃうと本当に大変なことになるから学校では絶対に言わないでね。そもそもいくらペットショップにいても『私達の大事な春夏』なんて言ったら7割方違う方向になりそうだから。
いや、9割かも。
「それよりもこれどうかな?春夏、全身が白いから分かりやすいのがいいかなって。どう思う?」
「そうだな。色ははっきりしてる方がいいかもな。俺もその色で賛成だな」
「ハルは、春夏に何を買ってあげるの?首輪は私が買うけど他に買う物ってなんかあるかな?」
それがあるんだよね、今後の為に必要な凄く大事な物がね。
「俺は、もうとっくに決めてあるよ。もの凄く大事な物をな」
「ハルの意地悪。教えてくれてもいいのに」
「別に言うつもりだったし、意地悪気もなかったよ。夏美が早とちりし過ぎだ。俺が選んだのはこれだよ」
用意したのは、春夏がゆっくり入れる移動用ペットゲージだった。
春夏が家にいるだけなら必要はないが今後、夏美の家にも連れて行くのと病院等で必要になるので一番買わないといけない物だった。それを見て夏美もハッとした。
「そっか。これがないと春夏がうちに来てもらえないもんね。私のバカー」
「春夏ならもしかすると俺の後を普通に着いて来そうだけどな。さすがに犬みたいにリード?だっけか付けるわけにはいかない。春夏にはちょっとだけ我慢してもらうけどな」
「大丈夫だよ、春夏ならちゃんと大人しくしてくれるから。いい子だもん♪」
だから、そうゆう爆弾発言をさらって言うのはやめてくれって言ってるんだけど、これって自分で言ってて気づいてないんだろうなと。
頼むから、今この場に学校の奴がいないことを切に願うばかりだ。
そうして俺らは個々に春夏への誕生日プレゼントを買って店を後にして、そのまま帰るのも癪なので久しぶりに来たショッピングモールを散策しようということになったのだ。
丁度、時間もお昼を迎える頃なので俺らは案内図を見てレストランがある方へ向かうことにした。色々と見て回るが昼時で混雑していた。
どうしようかと悩んでいると、夏美がある店を見つめていた。あれは、パンケーキ屋?
俺自身、甘い物が好きなので昼にパンケーキくらいは問題ないから夏美に直接聞くことにした。
「夏美?もしかしてここのパンケーキ食べたい?」
「ううん、そうじゃないの。良いなって思っただけなの。それにお昼にパンケーキは辛いでしょ?」
甘党の俺に、昼ごはんに甘い物なんて問題にすらならない。言うなら俺から言い出してもいいくらいの問題。
「俺は問題ないし折角だから食べてみないな。夏美は食べたくないのか?こんなに美味そうなのに。俺が奢るから付き合ってくれないか?」
「ありがとう、ハル。本当は食べたかったけど迷惑かなって思っちゃって」
まぁ、今はまだ仕方ないよな。急に対等やわがままを言える子じゃないのは分かり切っていることだしな。当面は俺達が手引きすればいいだけだな。
今日のお昼は、パンケーキとなり店に入るとそこには女子とカップルしかいない感じだった。俺は夏美がいてくれて安堵した。ここは1人じゃ無理だわ。
1人で入っても、いたたまれない状態で食べて感想が分からないまま終わりそうなイメージが簡単に予想できる。
まぁ、メニューを見るとどれも美味しそうでどれにするか悩んでしまう。適当に頼んで、万が一食べたい物が被ると面白くもないので夏美にどれにするのか聞く。
「なぁ、俺はこれにしようと思うんだが夏美は決まったか?」
「あ、それ私もだった。被ったら折角来たのに勿体ないから別にしないとね。ハルは他に気になったのはある?私はこれも気になったんだけど?」
あ~、確かにこれは女子受けしそうだよな。色鮮やかだしな。
「俺は、最初の以外はないから夏美はそれを選んで俺は最初のを頼んでシェアしよう。そうすれば1回で2度楽しめるだろう?」
「えへへ、ありがとう♪あ、すいませーん」
可愛い過ぎるんだよ。見ろよ、周りの人や店員さんまで俺らを微笑ましい笑顔で見てるし、この場合は見守ってるが正しいかな?俺だけアウェーだな。
注文して10分ほどでパンケーキがテーブルに置かれる。
そして、メニュー表と実物との差に驚愕せざる得なかったのは、実物を自分の所に来ると分かるが、ホイップ等もあってまるで山のような形になっている。アキがいたらげんなりしそう……
俺は至って問題ないが。夏美のも結構インパクトがあるっていうかは鮮やかなパンケーキだった。
パンケーキの周りにフルーツが散りばめられていて、まさにインスタ映えしそうなメニューだったが。これ、女子だと結構辛くないか?
まぁ、とりあえず自分の先に食べて残ったら俺が食べるか。
「美味しかった♪ハル、ここのお店にしてくれてありがとう♪」
結果、夏美は俺の予想を簡単に超えて俺より早く食べ終えてしまったのだ。
俺が食うのが遅い訳ではない、パンケーキの魔力に惹かれた夏美の食べるスピードが異常だったのだ。
確かに、今まで食べたパンケーキの中で一番を争うほどの美味さだったので、吟味するかのように食べていたのも一因である。
「まさか、あの量を普通に食うとは思わなかったわ。どこに入るんだよ」
「簡単じゃないよ……今だって相当辛いもん。でも残す方が申し訳ないからね」
「別に無理しなくても俺がいるからダメなら渡せばよかったのに」
「だって、ハルが私より遅かったからお願いできる状況には見えなかったから。でも、自分で頼んだものだから出来る限り食べようと思ったら食べれちゃった♪」
食べれちゃったって、勘違いしそうになるからな……その笑顔。
「それはすまなかったな。あまりにも美味くて味わって食べてたよ」
「それだと、私が食い意地張ってるみたいだよ……うう……」
仲良くパンケーキを食べ終えてお店を後にした俺らは折角なので、ショッピングモールをぶらぶらすることにしたのには、ちゃんとした理由もある。
この間、家に行った時に少しだけ殺風景な感じもしたので色々見て回ろうってことになったのと、夏美にはここ最近の疲れをいやしてもらおうという魂胆で、冬姫からも『ハル、ちゃんと夏美を守ってね』とも言われている。
その後、俺はその約束を破る行為をしてしまうとは。
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