第35話 クラーケン来襲
「ゲネオス! パマーダ! マスキロ! すぐに出てきてくれ!」
油断した! ミョルニルは手元に備えていたものの、グラディウスは船室だ。
「ゲネオス! 来るときオレの剣も持ってきてくれ!」
そのときオレは、後ろの方から何かが身体に巻き付くのを感じた。
振り返ると丸太ほどの太さのある吸盤付きの触手が伸びてきて、オレの動きを封じていた。
もう一度振り返ると、先ほどの目の持ち主が徐々にその姿を見せつつある。
大きい……
その大きさゆえに、触手を船の下に回して、船の反対側からオレを捕らえていたのだ。
次の瞬間オレは触手に持ち上げられて、数メートルの高さから甲板に打ち付けられた。
痛みを感じる間もなく再び持ち上げられたオレは、今度は船尾の方向に放り投げられた。
偶然そこにマストがあり、オレはマストの途中で引っ掛かった。
オレは
ゲネオスたちも甲板に現れ、船の両側から延びてくる触手を切りつけ始めた。
「サルダド! 剣だ!」
しかしゲネオスはオレがどこにいるか分からなかった。
「こっちだ!」
必死で声を張り上げると、ようやくゲネオスがオレの居場所に気付いた。
「なんでそんなところにいるの!」
「あとで説明するから。とりあえず適当にグラディウスを投げてくれ!」
ゲネオスがオレのグラディウスを空中に放り投げた。
マストの上にも触手は攻撃を仕掛けてくる。
オレはミョルニルで応戦していたが、ぐにゅっと
グラディウスを回収してから、ようやく触手にダメージを与えられるようになった。
オレは苦戦しながらも襲ってくる触手を切り落とした。
甲板に目をやると、ゲネオスは剣で、マスキロは魔法で応戦している。
船長を含め、戦闘力のある船員も戦いに加わっていたが、既に触手に巻き取られて海中に引きずり込まれた者もいた。
ゲネオスやマスキロの力でいくつかの触手は落とされたが、いまだにモンスターの勢いに衰えは見えない。
そのとき、遂に日が落ちた。
太陽の最後の光が、モンスターの胴体を照らした。
青い光の中で、キラリと光るモノが見えた。
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