第29話 スパイシー・パニック

マスキロが唱えた魔法で、コシネロの対戦相手が持ち込んだ香辛料の壺が次々に割れていった。

高価な香辛料が空中に飛び散る様子を見て、コシネロは遂に気絶した。

さらに舞い上がった粉塵で、茶色い変質者の色がよりくっきりと見えるようになった。

料理対決を観戦していたご婦人たちも、一部を除いて次々と気絶していった。


コシネロの対戦相手とその弟子たちは、姿を変え始めた。

茶色い奴と同様、体格が極めて良いデーモンだ。

上半身をおおっていた服はビリビリに破れて床に落ちた。

マスキロが言った。

「恐れるな。デーモンは低級レッサーな者ほど、身体が大きい」

起きている者は皆一斉に逃げ始めた。

気絶した夫人をおぶって逃げる紳士もいたが、夫人がふくよかな場合、夫は一人で逃げた。

その後の家庭運営がどうなるかはさておき、一般市民を巻き込む心配がなくなった。

初めての乱戦に突入だ!


悲鳴や怒号の混じった人の流れに逆らって、オレはデーモンに近付き、一番強そうな元料理人デーモンにグラディウスを突き刺した。

ゲネオスは茶色い奴を狙って、鋼の剣を振るった。

そこから先は総力戦で、マスキロはノンストップで魔法をかけ続けた。

オレは3匹のデーモンをまとめて相手にすることになったが、先制攻撃に成功したことで優位に立つことができた。

パマーダからの回復魔法にも助けられ、オレは軽傷を負いながらも元料理人デーモンを倒した。

料理人の弟子に成り代わっていた2匹は、デーモンになってもたいしたことがなかった。

元料理人デーモンに続いて、2匹の弟子デーモンに止めを刺した。

振り返ると、丁度ゲネオスが茶色い奴に最後の一太刀を浴びせるところだった。


オレ達は戦いに勝利した!

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