第21話 酒場に集合

「やはりあの倉庫は怪しい」

ゲネオスがそう切り出した。


その日の終わりに、オレ達は滞在中の宿屋にある酒場に集まっていた。

パマーダは勝手に酒を持ち込み、「傷をやすカクテル」という名前の飲み物を原価の20倍くらいの価格で売っていた。

パマーダいわく「トライデントは一部ツケで買ったから、早く返してしまわないと」

しかしパマーダの集客効果は素晴らしく、さびれた酒場はにぎわいを取り戻した。


食べ物はコックが沈んでいるので、頼んでもなかなか出てこないか、そのまま注文が忘れさられてしまうことが多かった。

しかしパマーダ目当ての客が持ち込む食べ物で十分腹はふくれた。

漁師の客はその日取れた魚を持ち込んだので、マスキロのファイヤー・ボールでタタキにして食べた。(ドレッシングはウェイターに作らせた)


ゲネオスは俺がトレーニングをしている間、街で聞き込みを続けていた。

街の全ての人に話しかけるくらいの気持ちがないと、次に何をすればいいのか、何処どこへ向かえばいいのか分からなくなることがあるかららしい。


「あの倉庫というのは何だ?」

俺が尋ねた。

「コックが言っていた香辛料を貯め込んでいるという倉庫のことだよ」

ゲネオスが答えた。

「確かに香辛料を積んだ船は最近港に入った。積荷は全て一つの倉庫に搬入はんにゅうされている。しかし品物を搬入するのが、いつも夜になってかららしいんだ。しかもその倉庫の周りではモンスターを見たという証言もある」

「と言うことはつまり……」とオレが返すと、ゲネオスがうなずいた。

「倉庫自体がモンスターのアジトになっている可能性がある。香辛料はダミーだね」

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