第20話 装備を変える

プエルトの街でオレ達は装備を刷新さっしんした。


これまでオレはずっと革の鎧を使っていた。

ミョルニルを投げるとき邪魔になると思って金属鎧は避けていたが、実際には投擲とうてきの際、重さは気にならないことが分かった。

しかし金属で身体をおおうと投げる動きが鈍くなるような気がしたので、レザーの上にポイントポイントで金属のプレートを打ち付けているタイプの鎧に替えた。

無防備な部分も多いが、胸や背中を刺す攻撃に対しては、十分効果を発揮するだろう。


ゲネオスは大蜘蛛との闘いで折れてしまった剣を捨て、はがねの剣にメイン武器を買い替えた。

スティングはとっておきの武器として普段は使わず、あくまでも長剣の技能を高める方針のようだ。


そしてパマーダはトライデントを買った。

パマーダに新しい武器(そして彼女にとっては初めての武器)を見せてもらったとき、オレ達はひっくり返った。

「デカッ!」

しかもしっかり刃が付いている、三本も!(トライデントは三つまたの槍)

「こんなデカい武器、どうやって使いこなすんだ?」

「使いこなすつもりなんてないわよ。そもそも私は武器なんか使ったことないし」

「じゃあどうして買ったんだ!」

「さすがに護身用ごしんようの武器くらい必要かなと。ほら、柄が長い方が遠くの敵を攻撃できそうでしょ? それに大きく振り回せばモンスターに当たる可能性も上がるし」

ん? まったくもって不合理というわけでもない。

素人が持ったときに最も攻撃力が高い武器はスコップであるという研究報告もある。

初心者に斬る、突くといった動きは難しい。

振り回す武器の方が初心者には優しいのだ。

しかしトライデントを振り回す女僧侶プリーステスの姿はなかなかカオスだな。

巻き添えを食らわないようにしなければ。


マスキロは何も買わないだろうと予想していたが、マーケットの裏の路地にある怪しげな店に入っていき、何やら買い込んで帰ってきた。

何を買ったのか尋ねてみると、

「戦士殿には無用のものよ」

との返事が返ってきた。

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