第5話 オーク討伐

あの身体の大きなオークが首領と見て間違いないだろう。

娘が見えない以上やむを得ない。オレはミュルニルのターゲットを娘からオークの首領に変更した。

ミュルニルを持ち上げ、大きく振りかぶってそれを投げつけた。

そして投擲とうてきと同時に、心の中でオークの首領を念じた。


ウォーハンマーは投げる瞬間にフッと重さがなくなり、オレは前につんのめってしまった。

しかしオレの手を離れたミョルニルは、意思を持つかのようにオークの群れに向かって飛んでいった。

クルクルと回転しながら山なりの弧を描き、洞窟の前まで行くと真っ直ぐオークの首領に向かって落下していった。

相手は避けることもできず、ミョルニルはそのまま敵に接触した。

その瞬間、オレの身体に重りのようなプレッシャーがのしかかってきた。


オークの背丈は我々人間より少し低いが肉が詰まっており体重は重い。

しかもこの首領は背の高さが我々と同じくらいある。

筋肉で丸々と太っており、体重は100キロぐらいありそうだ。

その重さが全てオレにかかってきたのだ。


重さに耐えながら顔を上げると、ミョルニルにくっついたオークの首領が宙に浮いてこちらに飛んできた。

投げたときほどではないが、ミョルニルは回転を続けており、オークの首領もそれに合わせてグルグルと回りながらこちらに向かってくる。

残されたオークたちは状況が飲み込めず、ただキーキー言いながらこちらを見ていた。


ミョルニルがオレの手に戻ると、オークの首領は地面にドサッと落ちた。

「今だ! 倒せ!」

我に返ったゲネオスが棍棒で首領を打ちつけ始めた。マスキロも魔法使いの杖で加勢した。パマーダは武器がない。

そうだ、このパーティーには刃の付いた武器を持つ者が誰もいなかった。

オレは手に持ったミュルニルを首領の頭めがけて打ち下ろした。

金属の塊がオークの首領の脳天を叩き潰した。


振り返って、もう一度ミュルニルを投げる姿勢を取ると、残ったオークは散り散りに逃げ出した。

これで戦闘は終わりだ。

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