いざ、フリーダムな世界へ!

「おっ、おお!! これは!?」


私は年甲斐もなく浮かれた声を出してしまいました。


……いや、まだまだピチピチのJKじゃないですか。


そりゃ浮かれますよ、目に写るものすべてが輝く宝石ですよ。


あっ、それより状況説明でしたね。


今、私は西洋風の大きな壁の前にいます。


で、あそにあるのは門ですかね?


なんか、門番っぽい人が二人、門のそばに立っていますよ。


……立ち仕事ですか、大変そうですね。


ご苦労様です。


まあ、辺りは何もない草原なんで、門をくぐって中に入る他なさそうです。


……ちょっと急にゲーム世界に放り出された感じになっちゃってますね。


もうちょっとガイドか何かがほしいところではありますが。


ああ、早くもあのお姐さんが恋しいですよ。


突然、自由になると何をしたらいいのか分からなくなってしまうのが、私という人間のサガ。


まあ、可愛い子には旅をさせろというじゃないですか。


旅立ちましょう、文句たれていてもしょうがないですよ。


「はじめまして、こんにちわ!」


私は少し歩いて、門の前の門番の一人に話しかけました。


『おっす!! 俺は見ての通り門番だ! ずっと立ちっぱなしだから、もう両足がパンパンだぜ! まったくこんな仕事やってらんねぇぜ!!』


そう門番の方が答えました。


……陽気。


随分と陽気な方ですね、初対面の私にいきなり愚痴を言って来ましたが。


まあ、大変なお仕事なのは重々承知していますよ。


私でよければいくらでも愚痴を聞いてあげようじゃないですか。


えーと、それで?


『……』


それだけ!?


それだけですか……そうですか。


まあ、こうして私と話すことで、この方の日頃のうっぷんが少しでも消化できたのであれば、喜ばしいことですよ。


えー……どうしますかね、一応もう一人の方にも話しかけてみましょうか。


「どうも、こんにちわ!」


私はもう一人の門番の方に話しかけました。


『おっす!! 俺は見ての通り門番だ! ずっと立ちっぱなしだから、もう両足がパンパンだぜ! まったくこんな仕事やってらんねぇぜ!!』


同じじゃないですか!


……まったく同じ、コピペじゃないですか。


切って貼っただけの工作じゃないですか。


自由研究ですか?


袋から出した粘土で作品名「豆腐」ですか?


ダメですよそんなんじゃ、通信簿が1まみれですよ。


犬が延々と吠え続けてますよ。


……いや、えー……手抜きとまでは言いませんけど、出来れば別の台詞を用意していて欲しかったですね。


まあ、このお二人が双子の可能性だってありますからね。


……いや、何を言っているんですか、双子は別に同じ台詞を吐いたりしませんよ。


まあ、門を開けて中に入りましょうかね。


なんか通行証とかいるのか……あっ、開いた。


普通に門開いた!


門番の意味!


……完全にこの二人ただのオブジェクトじゃないですか、まあ行きますけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る