薔薇戦争2
森林の景色を奏すマルチフィールドでは、薔薇の花と蔦を全身に巻き付けた巨大な美少女『レイドオブローズ』が眼前で待ち構えていた。
ありがたいことに、空想少女とヒナノの薔薇戦争のために太公望がわざわざ素材を消費して自発してくれたのである。
こちらのジョブが『ウィザード』なのに対し、ヒナノは『ガンスリンガー』。橘が普段使いしている銃使いのジョブだ。
「ここでガンスリかー。それ火力ないと使いこなせないと思うけど、大丈夫?」
「そういうのは勝ってから心配しなよ、空想」
皮肉で煽り合い火花を散らす二人――もっとも橘は空想少女に成り済ました演技なのだが、この雰囲気に周囲からは「がんばれ」だの「勝利を信じろ」だの声援が飛んでくる始末。
「おー、何か凄い盛り上がってんじゃん。元はヒナノが貧乳って言われてキレただけなのに……」
話を聞き付けてきたほのるるまでそんな言葉をこぼす。周囲の盛り上がる空気に反して、橘は内心鬱陶しく感じていた。
――野次馬多くてうぜぇな。
そもそも薔薇戦争はいつものメンバー内でのおふざけだったはずが、「なんか面白そう」という理由で話が無駄に広まり、事情を知らない第三者まで集まってきてしまったというわけ。
あくまでクッキーをおちょくるのが目的であって薔薇戦争自体に興味はなく、ここまで話が大きくなると非常に面倒くさい。
しかしそんな一方で、ヒナノは多くの注目を浴びながらまんざらでもない様子。彼女は手元のステッキを弄びながら、その場の全員に聞こえる声で言った。
「雑談部屋に姫は二人もいらない、わたし一人で十分だ。この戦いを意味のあるものにするために、わたしは必ず勝つ!」
いかにもそれらしい宣言につい笑ってしまい、ヒナノが怪訝そうな顔でこちらを見る。
「何がおかしいの? 勝負前なんだからそっちも意気込み的なの言えば?」
「いや……」
実際橘はアバターの見た目が変わっただけで、ランクも戦力もヒナノより高いまま。空想少女を演じながらわざと下手にプレイして、自然な流れでヒナノに敗北するというのが今回の計画だ。
無事に計画が済んだら、彼女にだけはネタバレしてもいいかもしれないと思う。何だかんだ付き合いの長いヒナノを騙すのはやや忍びない。
そんなふうに考えながら、橘もまたステッキを構えて戦闘体勢に入った。今一度自分の動きを頭の中でシミュレーションしながら、アビリティを発動する。
「こっちだって負ける気はないから――――アサルトバレッ…………げ」
初っぱなからアビリティの詠唱を間違えるという凡ミス。そのせいで一瞬だけ微妙な沈黙が流れ、橘は一気に焦りを覚える。
「え……それ、ガンスリのアビリティじゃ?」
ヒナノの突っ込みにすかさず言い訳しようとするが、そこへさらに追い討ちをかけるように、
「――袖から昆虫スキン見えてるぞ!」
「何ッ!?」
焦って冷静さを欠いたのが敗因だったのかもしれない。その指摘に咄嗟に袖を確認し、昆虫スキンなど見えていないことを確認し終えてから、橘は自分の重大な失態に気づいたのだ。
――冷たい視線が肌に突き刺さる。
おそるおそる顔をあげて周囲に目をやると、マルチフィールドには予想だにしなかった人物が来ていた。
「――そこまでだ。成り済ましの正体はお前だったんだな、橘める!」
※※※※
どうやら、橘はまんまとはめられてしまったらしい。
――いつの間にか、マルチフィールドに空想少女と万丈の二人がいる。
「何となく橘かなって思ってたけど……ほんっと最低! マジふざけんなよ! やることが悪質すぎ」
瞳に怒りを宿して橘を糾弾する空想少女。本来なら彼女は今日一日不在の予定だったのになぜ今ここにいるのだろう。
彼女が不在だと伝えた帳本人――太公望を問いただしたかったが、この状況ではそんな猶予さえない。
フリルつきのスカートという、全く同じ外見のアバターが二人という状況に皆混乱状態だ。
「は……空想少女の成り済ましって、うせやろ。橘が……?」
周囲がざわつく中でも特に状況を飲み込めていないのがクッキー。
橘が今ここで空想少女の成り済ましだという事実と、それからもうひとつ、彼との初対面時にも成り済ましをしていた事実が二重でバレてしまったのだ。当然、彼の驚きは大きなものだろう。
――あーあ、最悪だなこれ。
どうしたものかと頭を巡らせる橘に、ヒナノもまた目を丸くして聞いてくる。
「マジで橘さんなの……? じゃあさっきガンスリのアビと間違えたのは、いつもよく使ってるジョブだから……」
「その通り。おまけに雑談部屋に来る連中の中でも唯一昆虫スキンを使ってるのがそいつだ。だからたった今、袖を確認したんだろ。名前を呼んだわけでもないのに、『昆虫スキン』という言葉に反応してな!」
万丈は怒りに満ちた表情で橘へ一歩詰めより、びしっと人差し指を突きつける。
「それにお前の得意ジョブはガンスリンガー、バトルの始めにアサルトバレットを使うのが戦い方の癖だ。オレとカエデのマルチバトルを邪魔したときもそうだったもんなぁ!」
彼は恨みがましくいつかの苦い思い出を語る。カエデという名を耳にして、ようやく橘の抱いていた違和感がすっきりと腑に落ちた。
「……君、左翔か」
いつだったか、雑談部屋でカエデと左翔のマルチバトルに乱入し、MVPを横取りした橘。
あのときと今の万丈はアバターの外見も名乗る名前も違うから気がつかなかったが、同一人物だと言われてみれば、何となく感じていたデジャブにも納得が行く。初対面で橘を知っているような言い方をしたのも、彼の言動が覚えのあるものだったのもそのせいだ。
すると、
「橘めるって人、早くゲーム引退してほしいなぁ」
ギャラリーから聞こえた明確な悪意。橘が咄嗟に振り向くと、なんとそこにはいつの間にかカエデがいて、こちらに冷たい視線を送ってきていた。
「いつも害悪プレイばっかりされて迷惑してたんですよねぇ。しかも他人の成り済ましまでするとか、普通にあり得なくないですか? こういうの、はっきり言って『邪魔』ですよね」
その問いかけるような言い方に、「そーだそーだ!」と声高に賛同する空想少女。それに心なしか周囲の者たちもヒソヒソと「確かにあれはないわー」などと言うのが聞こえる。
だから何となく橘は、この場の雰囲気を察してしまった。
こんなふうに、皆に叩かれるようなことを自分はしてしまったのだと。
だが「邪魔」とまで言われてしまえばこちらも黙ってはいられない。
橘はスタスタとカエデの前まで歩いていくと、自分のウィンドウの中のとある画像を目の前に突きつけた。
「僕の写真フォルダにこんなものがあるんだよね。誰に貰ったかは覚えてないけど」
タバコを口に咥えた、どこにでもいそうな中年男性の顔写真。雑談部屋で情報収集をしていた際に橘が偶然得たものである。
それを見た途端にカエデの表情は分かりやすく意表を突かれたように崩れる。しかしすぐに目付きを鋭くして不愉快そうに橘を睨み付け、
「で? それが? ネットの拾い画なんか見せてきて何がしたいんですか?」
「なら、これは君の顔ではないと?」
「全然違いますけど。残念でしたね」
カエデがそう断言するのを聞いて、橘は「良かった……」と安堵のため息をついた。
「そうかそうか、君の顔じゃないなら本当に良かったよ。――これで心置きなく晒せる」
何を、とカエデが言う前に、橘はウィンドウの顔写真を拡大して顔写真をその場の全員に見えるよう拡大。すると意外にも、ヒナノは「あ!」と驚いたように写真を指さす。
「カエデじゃん。わたしもその写真もらったんだけど」
「言うなヒナノ! 橘てめぇマジでふざけんなよ!」
もはやそれまでの女性的な口調とは違う、荒々しい怨嗟の声が響き渡る。その怒りように周りをドン引きさせながらもなおわめき散らすカエデ。
橘はわざと笑いを含んだ口調で煽るように言った。
「なにキレてんの? 君の写真じゃないんでしょ」
「死ね死ね。まじキモいからお前。二度とゲームすんな」
「複数人に個別に写真を見せるのと、複数人全員の前で写真を見せるのでは何が違うのか教えてくれよ」
今みたいに素が現れたカエデの言動は、少なくとも万丈には受け止めきれなかったらしい。「嘘だろ……」と顔面蒼白になって頭を抱えているくらいだ。
それは単に性別を勘違いしていたのだけが原因ではない。万丈はカエデに『ガチ恋』していたのだ。
つい昨日、他人のコメント欄を漁っていたとき、橘はこんなコメントを見つけた。
『どうも、知り合いから辿ったら着いた。ネトカノ欲しいからワンチャンなってくれないかなと。まあ答えはわかってるが』
万丈がカエデのコメント欄に書き込んでいた内容。少ししてカエデから『ごめんなさい』と断られた直後に見たら、このログは既に削除されていた。
時系列をまとめよう。
万丈たちのマルチバトルに橘が乱入する、万丈がカエデに告白してフラれる、万丈が空想少女との『膝枕ごっこ』を見られる。と、このような過程を経て今に至るわけだ。
「またフラれちまったしな……」と万丈が落ち込んでいたのはカエデのことだったらしい。
いつまでも橘への恨みを口にして騒がしいカエデに、部屋主のクッキーは心底うんざりした様子で、
「いい加減うるさいから今はバイバイ」
それだけ短く言って退出権限を実行し、マルチフィールドもといルームからカエデの姿が消えたのだった。
うるさい声が止んでしん、と静まり返ると同時に、再び橘のやらかしたことを問いただす流れに。
昆虫スキンのプレイヤーは自分だけじゃない、アビリティを間違えたのはたまたまだ、なんて言い訳をすることもできたのかもしれないが、カエデのせいでタイミングが失われた。元より、しても仕方ないことくらい橘にもわかっていたが。
「なぁ。橘、成り済ましってマジなんか? 本当にそうならさすがにちょっと引くんやが……ヤバすぎるだろ、色々と」
クッキーはひときわショックを隠しきれていない。怒るでも悲しむでもなく、怪物を不気味がるように眉を寄せている。
いつも斜め上のズレたリアクションばかりするくせに、今回は純粋に気持ち悪がるなんて余程のことなのだろう。
シャルナは困惑し、ほのるるは呆れの混じる表情で、ヒナノも引いてはいるが「まぁいっか」と軽く受け流すような豪胆さが垣間見える。彼らの反応を受けて、橘により一層罪悪感がのしかかった。
「なんでこんなことしたん?」
クッキーに問われてもなお、本音を言うのを躊躇った。
「クッキーの顔写真を得るため」と本当のことを言ってしまったら、ただでさえ今の状況で皆からの信頼ががた落ちしているのにさらに気持ちの悪い人間だと思われてしまう。
だから、
「――お前のことが好きだったんだよ!」
「……は?」
せめて冗談で誤魔化そうとしたら、伝わらなかった上に余計気持ち悪がられてしまった。こんなことってあるだろうか。
もうどうしようもなくなって、橘はその場に膝をついて折り畳んだ。
事勿れ主義と和の心の究極形態、『土下座』である。
「大変、申し訳ありませんでした――!」
自分がなぜ謝っているかわからないながらも、とにかく頭を下げた。
土下座されても困る、と言いたげな周囲の反応に対して、一人だけ、橘を睨み付けて激昂する少女がいる。
「謝って済むと思ってんの? 荒らしのみならず成り済ましまでしてるのマジ最低なんだけど。そんなだから怪人二十面相とかすり鉢女とか言われるんでしょ。ゲス、クズ、ゴミ! 早く消えてよ!」
罵詈雑言を撒き散らして地団駄を踏む彼女――空想少女がここまで激昂するのは至極当然の話だった。
クッキーと初対面のときにふざけて空想少女に成り済まし、彼女の顔写真をフリー素材化する行為に荷担し、今もこうして成り済ましているのは紛れもなく橘なのだから。
――けれど、すり鉢女という嫌いなあだ名を持ち出されるとカチンと来る。
悪いのは自分だけじゃない、と内心逆ギレしつつ、橘は写真フォルダからとある画像を引きずり出す。その画像をウィンドウに表示させて拡大し、ルーム内の全員に見えるように映した。
「これ、なーんだ?」
その写真――空想少女と万丈が膝枕をしている写真だった。元は晒すつもりなどなかったけれど、この状況になってしまったら隠す必要性もない。
どうせクッキーと空想少女の仲を破滅させてやりたいと思っていたのだからちょうど良い機会ではある。
「おい、空想……ふざけるなよ。何浮気してんの?」
案の定、彼女のネット彼氏はふつふつと怒りの形相をなして空想少女に詰め寄った。
「悪い? だって飽きたんだもん。クッキーだって他の女と仲良くしてるでしょ」
「は? ブスのくせに生意気すぎだろ」
ぶち切れるクッキーに対し、平然と居直る空想少女の神経はなんて図太いのか。
突如始まった口論で険悪な雰囲気になる中、万丈は「う、浮気……?」とごにょごにょ言い始める。
哀れにも、彼は空想少女が元々クッキーと付き合っていることを知らなかったのだ。カエデの件といい、連続して不運に見舞われている万丈には同情せざるを得ない。
空想少女はそんな彼の隣に歩いていき、クッキーに向かって舌を出した。
「あっそ。でも万丈さんの方がいいし、私はもう関係ないから知らなーい。そっちはそっちであとはご自由にどうぞ」
「――っ。今すぐ僕に謝るなら許す。謝らないならお前の顔写真をネットの掲示板に晒す。どうするか選びな」
空想少女は「はっ!」と鼻を鳴らして睨み返し、冷ややかに返事をした。
「勝手に晒せば?」
「……ふーん」
するとクッキーは怒ってわめき散らすこともせず、ただ静かにウィンドウを開く。一体何をするのかと皆が見守る中、予想を裏切る所業を彼はしでかした。
まさか本当に晒すわけないだろうと思いつつ橘はゲームの掲示板を手当たり次第に探す。するとふと、見覚えのある写真が目に飛び込んできたのだ。
赤いタオルを首に巻いてボートに乗る女の子と、もう一枚のプリクラで加工した顔写真の二枚。
投稿者は、その写真にコメントも一緒に添えている。
『空想とネット恋愛してたんですけど、浮気された挙句振られて本人も反省してないようなので晒します。ふざけるな豚まん ※本人に了承は得ております(念の為)』
特に最後の一言で保身に走っているのには、橘も盛大に笑ってしまった。クッキーは容赦なく晒したくせに若干チキっている。
「わたしもその書き込み見たい。どこで見れるの?」
「エアプゲームズってサイトで、投稿してる奴のIDはローマ字読みでデカイニュウリン」
「ひでぇIDだな!」
橘がヒナノに教えると、彼女もすぐにその書き込みを見つけてげらげら笑い始めた。
「はぁ、マジうざ……ムカつく」
晒された張本人、空想少女はかなり不愉快そうに歯噛みしている。
既にフリー素材にされている彼女が今さらどこに晒されようと大して変わりはしないが、こうして大勢の前で素顔を見られて好き勝手なことを言われる辛さは計り知れない。このような公開処刑に、常人のメンタルで耐えられるはずがないのだ。
「空想、大丈夫だ。これからはオレが必ず守る」
独特な台詞のセンスを発揮しながら空想少女を慰める万丈。そんな彼に橘はふふふ、と笑って目をほそめ、
「ネカマにご用心、だよ。無自覚ホモくん」
「うるせえ! お前は二度とマルチバトル邪魔してくんな!」
薔薇戦争のことも『レイドオブローズ』討伐戦のこともすっかり忘れて言い争う皆に、ほのるるは深くため息をついた。
「……シャル君、俺らだけでコイツ倒しちゃおうか」
「そうですね……」
ほのるるとシャルナの二人は戦闘体勢に入り、それぞれ詠唱をしてバトルを開始する。長らく放置されていたマルチボスは、やっと始まった、とでも言いたげに動き始めてようやく本来のマルチバトルの光景に戻る。
しかしバトルが始まってもなお言い争いは止まらず、空想少女とヒナノの戦いを見に来たギャラリーの何人かは呆れて帰っていく始末。
そんなわけで今回の薔薇戦争は何とも締まらない終わり方になってしまったのだ。
その光景を、一歩引いて意味深な表情で見守る少年が一人。
「まさかこんなことになるとはな」
※※※※
「空想はどうしようもないやつだなあ、つまんね。新しいおもちゃないかな。てかさあ、僕空想に結構優しくしてたよね。好きでもないブスに優しくしてあげたのにこんな振られ方してキレそう」
時間切れでルームが消えたのち、新しく作り直した雑談部屋で別れた女への愚痴を言うクッキー。話を聞くふりをしながら橘は必死に笑いを堪えていた。
――いったい、どっちがおもちゃだったんだろうな?
相手をおもちゃ呼ばわりしていたわりにここまで感情的になるのは、自分が遊ばれるのは許せないタチだからなのか。
道化として完璧な役回りを演じる彼はある意味最高のエンターテイナー。できることなら床を転げ回って抱腹絶倒したいほど橘にとっては面白かった。
「あはは……ドンマイだね。まぁ、でもさ。クッキーは優しいからきっとすぐに次の出会いが見つかるよ。辛いだろうけどあんまり落ち込まないようにね」
もちろんこんなことは一ミリも思っていないし、慰めるふりをしているだけ。しかし口は災いの元で、必要以上に嘘をつくとろくでもない結果を生むもの。
「――ありがと。橘も優しいね」
クッキーがにこっと笑った瞬間、ぞくり、と橘に悪寒が走った。何とも気味の悪いその感覚はすぐに消えたのでただの気のせいかと思ったのだが、
「優しいってのは皮肉で言ってるのか? さっきの雑談部屋で何があったか見てたでしょ」
「うん、あれは本気で精神状態おかしいと思ったね」
「だよね。嫌いでもキモいでも、何とでも言ってくれて構わんよ。一週間くらいしか引きずらないから」
「いや、別にそうでもない」
思っていた反応と違って「ん?」と首を傾ける橘に、クッキーは至極真面目な顔で言った。
「――好みのタイプはガイジだから」
――?
橘は純粋に、その発言の意味がわからなかった。そいつの最悪な本性を知ったら幻滅するのが人として普通の感性ではなかろうか。
そもそも今までの彼の発言からして、ガイジなんて言葉は人を貶すときにしか使っていなかったはず。
「それ、褒めてない……よね?」
「一応褒めてる」
成り済まし行為がバレてもクッキーとの関係が悪化しなかったのはきっと運が良かったからだ。
しかし、今までとは確実に何かが違う。何がと聞かれれば上手く言葉にできないが、持ち前の勘がここぞとばかりに嫌な予感を示している。
橘はぼんやりと、だが着実に、触れてはいけない地雷が踏まれつつあることに何となく気づき始めていたのだ。
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