第22話女優柏崎由希子

美優は昔の自慢話とかを聞かれて、適当に話しをして男性の学生家庭教師の話と、近くのマンションの女性の事を聞こうとしたがそれ以上は判らなかった。

宮本の奥さんは家庭教師の名前が判れば、早めに連絡すると言ったのでマンションを出た。

ハイツ茜の昔の女子学生が気に成り、管理会社を訪ねる事にして向かった。

六年程前で、須藤瑠衣、それ以外の女子の名前と住所を調べて欲しいと言うと、個人情報を簡単には教えられません、唯須藤瑠衣さんと言う名前の学生は入居の記録が在りませんと答えた。

美優は多分静岡県警から、捜査令状が出て住居人の情報を提出願う事に成ると思いますと言って、不動産の管理会社を出た。

美優が出て行った後で、しばらくして女子社員が「今の人、野平美優と言ったわよね!静岡県警って言わなかった?」と同僚に尋ねた。

「そう聞いたわ!どうかしたの?警察の奥さんが凄い出しゃばりね!」

「あの人、もしかして週刊誌に出ていた美人の静岡県警刑事の奥様では無いの?」

「あっ、そうよ!野平美優って言ったわ!有名人だったのね!可愛い美人って本当だった!」

「ショートボブで、溌剌とした奥様って読んだわ!サイン貰い忘れた!」

「でも、あの古いマンションの住人が犯罪に関与しているの?殆ど大学生だけれどね」

「取り敢えず準備はしましょう、六年前位って聞いたから、随分多いわ!」

二人は早速資料の整理を始めた。


一方柏崎由希子の事務所に向かった一平と伊藤。

由希子の秘書が自宅に居ますので、自宅で会いたいと秘書が指示して、二人は由希子の自宅に向かう。

事務所から沼津の自宅に呼びつけたのは、何かを感じたからだろう?と一平達は言いながら向う。

午後二時に自宅に到着すると、応接間に招き入れる。

応接間には自分の女優時代の写真が沢山飾られて、中には映画賞の写真も飾られて誇らしげに見える。

「野平さん!この写真見て下さい」と伊藤が指を指した賞を貰った時の写真に、錦織衆議院議員の姿が一緒に写っていた。

「これは!」一平が驚いた時、ドアが開いて柏崎由希子が入って来て「若いでしょう?もう昔ね!」と言うと軽くお辞儀をした。

「今もお綺麗です」一平は世辞を言いながら会釈をした。

「静岡県警が私に何用なの?」

ソファーに三人は座りながら由希子が切り出した。

「単刀直入にお聞きしますが、あそこの写真に写っている錦織さんとのご関係は?」

顔色が変わる由希子が「あの写真ですか?後援会の会長をして頂いていたのよ!だから一緒に写っているのよ」

「後援会の会長ですか?その時は人民党の幹事長でしたね」

「そうだったかしら?覚えていないわ!」

「申し遅れました!私達は殺人事件の捜査をしています」と二人がテーブルに名刺を置いた。

「殺人事件と言いますと、少し以前に起った商社の重役?それとも最近起った御前崎の水死体?」

「もう一つお忘れでしょう?」

「まだ有りましたか?」惚けた様に言う由希子。

「はい、今日はその事件で重要な証拠が見つかりましたので、事情をお聞きしたくて参りました」

「。。。。。。」恐い顔で睨む様な由希子。

「この写真をご覧下さい、或る神奈川のラブホで撮影された映像を、焼いてきた物です」

テーブルに数枚の写真を並べると、顔色が変わった由希子。

「ここに写っているのは、貴女と錦織さんですよね」

「。。。。。。。。。。。」写真を手に取って見ると、観念した様に「はい!そうですね」と認めた。

「このラブホで仕事をしていたのが、もう一人我々が今日調べに来ました足立伸子さん殺害事件です」

「その足立さんて人が殺されたのに、私が関係していると言いたいのですか?」

「まだそこまで言っていません、錦織議員との仲はお認めに成られるのですね」

「。。。。。。。。。。。昔から可愛がって貰っていました。でも関係は有りませんでしたよ!」

「関係が出来たのは?」

「この時一度だけです、議員は奥様もいらっしゃいますので、その後は会っていません」

「それでは、この時ボイスレコーダーを部屋にお忘れに成ったのですよね!」

「はあ!一体何の話しをされていますか?私には理解が出来ません!そのボイスレコーダーが発見されたのですか?」

「いいえ、その様な物が在ったのかは証明されていませんが、足立さんの同僚の話では持っていたと考えています」

「県警では私が、そのボイスレコーダーをホテルに忘れたと?私にはその様な変な趣味は御座いません!失礼です!お帰り下さい」怒り出した。

「足立さんが亡く成られた時は、どちらに?」

「アリバイですか?その時期はヨーロッパに行っていましたよ!お調べ頂ければ直ぐに判りますわ」

「最後にもう一つお聞きしますが、東南物産の桂木常務はご存じですか?」

「私が商社の方を知っている訳無いでしょう?あの方自殺では無いのですか?」

「何故その様に思われるのですか?」

「いえ、何となくそう思っただけです、だって殺される様な事されていたの?」

「それは捜査中です」

二人はこれ以上何も喋らないだろうと思い「また何か新しい事が判りましたら、お聞きに参りますので、よろしく」

自宅を出ると「ボイスレコーダーは彼女が忘れたな!」

「でも何の為に録音して、何故忘れたのでしょう?録音する程大事な物を!」

「それが変だな!内容は二人の会話ですよね!」

「判らないが、二人がラブホに行った日に足立伸子がボイスレコーダーを手に入れた事は確かだ!」今日は錦織議員との関係を認めさせた事で納得をしていた。


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