失敗  作・平田貞彦

八月九日 日曜日 雨天


 目がかゆい。かゆいので、ガリガリガリガリ両手で引っ掻いていたら目ん玉がボロっと落っこちた。いかにも喧嘩腰でボロっと落ちるものだからこちらも喧嘩するつもりで両玉同時に口に含んで奥歯でゴリゴリしてやったら途端に黒目と白目をブベベっと噴き出して萎んでしまった。俺の勝ち、フヘヘっと満足してから気付いたが、目ん玉が無いとモノが見えねえ。やっちまったなぁ。潰れた目玉の皮をペっと吐き出し、紙にくるんで捨てた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る