え? 神様? 2
暫く沈黙が続いていたが、ババ様の声で、時間が動き出した。
「さて、やはり予定通りに、レンの加護の事はこのまま秘密にしておいた方が良さそうじゃな?」
「はい、ちょっと国家が持つ戦力としても、教会との関係にしても、バランスが一気に偏る事になってしまいますね」
ババ様と、クウェンディ様が二人で確かめ合うように話しておられる。
「母様、やはり僕の存在は、危うい力になるのでしょうか?」
「・・・レンちゃん、心配することはないわよ」
「でも、このバーレフォレスト王国には、剣聖の母様が居られるのですよ? それだけでもかなりの戦力と考えられているのに、そこに僕が現れたら、周辺国は警戒するのは必然ですよね?」
「じゃから、隠し通す!」
ババ様が、僕に大きな声を掛けてきた。
「隠すのですか?」
「そうじゃ。元々そのつもりで、今日まで準備しておったのじゃからな」
「では、先程のクウェンディ様の新しい神というのも?」
「そうじゃ、あえて低位神と言いふらす事で、周囲の警戒を緩めるつもりじゃ」
そう言えば、ジルデバル辺境伯も馬鹿にする程度で、それ以上は嫌がらせ、してこなかったな?
「分かりましたババ様。では僕は、出来るだけ目立たないようにいたします」
「まぁ、無理に目立たないようにはしなくても良いがの?」
え? 低位神だからそれほど強力な加護じゃないと見せなければいけないのでは?
「神の加護を受けているのは変わらないのだし、それに剣聖の子と言うだけで目立っておるからの?」
それは、そうか。
「それと、先程のエリオン様とフォルセ様の件が無くても、レンちゃんには、ファルシア王女の事をお願いするつもりだったから、いやでも周りから色々言われると思うのよね?」
母様が悩まし気な顔で、小さくため息を漏らされた。
「そうですか? ファルシア王女様と、できたら友達になれればとは思いますけど、それだけですよ?」
「ん~、それだけで済めば良いのじゃが」
「どういう事です?」
ファルシア王女様と、友達になれるか分からないけど、エリオン様とフォルセ様との約束もあるからな、僕が友達になれば少しは気が楽になるだろうし、頑張ってみるつもりだけど、それがどうしてただじゃ、すまなくなるのだ?
「まぁ、レンちゃんは、自分の思うようにすれば良いわ。後のフォローは母様達も協力するからね」
「はあ、ありがとうございます」
よく分からないけど、相手がお姫様だし、つけ狙う者もいるのかもしれないしな。
「王女様の事は、僕も慎重にいたしますし、それにカーナもリーシェンもいますから安全には注意いたしますよ?」
「ん~そればかりじゃないのだけどね。あ、そうそう、そのリーシェンだけど、正式に私付きのメイドから、レンちゃん専属にしたからね。カーナと同じく優しくしてあげるのよ?」
それは、当たり前だ。カーナもそうだけど、リーシェンは僕が生まれる前からこの家に使えている優秀なメイドで戦闘でも母様を相手に一歩もひけをとらない腕前だからな。実は僕、レンティエンスの憧れの人でもあるんだよね。
だから大切な人である事には変わりない。
「リーシェン、これからもよろしくね」
「よ、よろ、よろしくお願いしましゅ!」
リーシェンが普段見せないくらい緊張している? 言葉をかんでいるし」
「良かったじゃないですか、先輩。これで私と対等の立場になりましたね?」
「ふふ、そうね。これで一日中レン様と一緒・・・・・うふ、ふふ。ふふふふふふ」
リーシェン、怖いよ?
「先輩、負けませんからね?」
「ふふ、亀の甲より年の劫よ。年長者をなめないで欲しいわね?」
「その歳のせいで、少し胸が垂れてきていません?」
「な!? 何を言うのよ!」
リーシェンが胸の辺りを手で抱えながら、意識的に上に上げようとしている。
垂れてきているのが気になったのだろうか?
「レ、レン様・・・年増は嫌いですか?」
リ、リーシェン! 胸を両腕で持ち上げながら、そんな言い方で迫って来ないで!
その攻撃力高いって!
「と、歳の事は、関係ないよ! リーシェンはとっても綺麗で、頼りになるお姉さんって感じで、信頼しているし凄く好きだよ?」
と、言ったらリーシェン固まっちゃった。
「ずるーい! レン様! カーナにはないのですか?」
「え? な、何がかな?」
「私には、その、今の言葉はないのですか?!」
今の言葉? 僕がリーシェンに言った言葉かな? 何を言った? 綺麗? お姉さん? ???
「えっとー・・・・カーナはいつも元気だよね?」
え? ええ? な、なんで涙目になって唇尖らすの?
「相変わらず、お嬢の所のメイド達は、レン、命じゃの?」
「まあ、この二人は赤ちゃんの頃からレンといますからね。この二人ならレンちゃんの事、任せても大丈夫ですよ」
「システィーヌは、良いわね~。私も子供欲しくなってきちゃった」
突然の爆弾発言をされる、クウェンディ様。
「あら、あなた男嫌いじゃなかったかしら? 女の子ばかり追っかけているから変態のあなたが今更?」
「うるさいわね。はあ~システィーヌも小さい頃は可愛かったのになぁ~。私とあんな事やこんな事や・・・ムフフフ」
「おい! その話をレンちゃんの前でするなって言ったでしょうが・・」
あれ? 母様から殺気が・・え? ちょ、ちょと本気っぽい!
「ふん、言わないわよ。でもね、レン君見ていると昔のあなたとの事思い出しちゃうのよ。ほんと昔のシスティーヌにそっくりなんだもん! ああ、駄目! 考えただけで・・・レン君、私と今晩一緒に寝ない?」
か、母様! お、落ち着いて!!
「おお、久しぶりの本気じゃの」
「ババ様そんな呑気に言わないで下さい!」
「大丈夫じゃて、あの二人の力は互角じゃからの。それにあれはじゃれ合っているだけじゃ」
そうか? 僕には本気で殺しに行っている様にしか見えないけど?
「まあ、こうなる事も見越して、この訓練場借りたんじゃよ。どれ、久しぶりにレン達の相手もしてやるから、かかってくるんじゃ」
「それは、ありがたいのですが、本当に良いんですか?」
「いいから、ほっとけ。それより来ないならこっちから行くぞ?」
こうして、身内の訓練が始まりました。
僕の話は、あれで良いのだろうか?
この後、終末戦争の様な戦いが繰り広げられ、施設の一部が破壊され、父様が泣いていたと人伝で聞きました。
父様、ごめんなさい。
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