メイド達の狂騒 3
あの後、母様と色々お話をして、楽しい誕生会を過ごした僕は、いつもの時間になったのでお風呂場に向かっていた。
「いつもの時間か・・」
このレンティエンスとしての生活習慣を僕自身がちゃんと理解しているということだ。
この体は前世での俺の記憶を持っている自覚があるけど、どちらかというと、今世の僕の方の意識が強い気がする。
「20才を超えている大人の自覚はあるけど、10才の子供としての自分にも違和感が無いんだよね?」
これも管理神様の調整のおかげなのかな?
それともこちらの世界の神様のおかげなのか? そう言えばこちらの世界の神様って頂上神オーディン様、それと大神エグラシル様だったかな?
このフェルナール世界の2大神と言われている存在だ。
とにかく、今、自分はかなり良い状況で転生した様だ。その事は単純に喜んでおこう。管理神様、頂上神様、大神様、ありがとうございます。
そして貴族の子供である事をちゃんと自覚して行動しよう。そうしないと母様達に迷惑が掛かる可能性がありそうだ。
あんなに優しくて強くて綺麗な母様を悲しませたくないもの。
あ、ついでに父様もね。
そういえば、父様と言えば、あれ以来帰って来なかった。
きょうは夜遅くまで修練されるんだろうな。
多分、母様も付き合うみたいだし、仲良い脳筋夫婦だね。ある意味羨ましいよ。
前世では恋愛どころか異性ともあまり喋った事無かったからなぁ。
せっかく新たな異世界で生活させてもらえるんだから感謝して、今度こそ良い人生を全うしよう!
「あ、ここだ。行き過ぎるところだった」
色々考えながら歩いているうちに、僕は浴場の入り口前に到達していたようだ。入り口には扉はないが、壁に掛けられた、この世界フェルナールの言葉で男、女、の字が書かれている金属製の看板を目印に入って行く。
入って直ぐに衝立が立っていて、それを横に避け、さらに奥へと進む。
そこは床も壁も天井も大理石の様な石板が張られた脱衣場になっていた。
「お、お、お待ちしておりゅましゅた! レンティエンスしゃま!!」
床の上に両膝を付き、両手の指先を揃えてお辞儀するメイド服姿の女の子が、耳を赤くしている姿が見えた。
たぶん、初めの挨拶で緊張していたのか噛んでしまって恥ずかしかったのかな?
「慌てなくていいからね?」
ガバッ!!
「す、すみません!すみません! すみません!!」
今度はいきなり顔を上げたかと思ったら、何度も謝りだして、何度もお辞儀を繰り返しはじめた。
別に怒ってる訳じゃないんだけどな?
「もう、いいよ。そんなに頭振ったら、目眩するよ? それより、今日はレコナさんが当番になったんだ?」
僕が声を掛けると、お辞儀を止め今度は僕の顔をジーと見つめだしてきた。
「わ、私の名前を覚えて下さっているんですか?」
「え?そりゃあ勿論だよ? 家のメイドさんや、使用人さんの名前覚えてないと不便でしょ?」
まあ、僕もほんの少し前に前世の記憶が覚醒して、若干記憶が混乱している部分もあるけど、家で働いている人の名前は普通に出てきてるので少し安心していた。
「いえ、この前、私がお世話にした時には名前を呼んで頂いておりませんでしたので、ちょっとビックリしてしまって」
なるほど、少し記憶を整理してみるか。
そう言えば、前回って、え?3ヶ月前?そうか、こういう身の回りの世話は、カーナって僕専属のメイドさんがしているんだ。
で、時々カーナは、冒険者組合に登録している冒険者でもあるので、臨時指導として屋敷を空ける事がある。
その時にこうやって、レコナさんのように代理が立てられるわけだ。
その時は、カーナともう一人リーシェン以外のメイドさんには慣れなくて、恥ずかしかったみたいだ。それで名前を呼べなかったようだ。
今は、精神年齢が上がったから、大人の対応をしないと。
「ごめん、その時はカーナ以外のメイドさんにお世話してもらう事が少ないから、恥ずかしかったんだとおもう。もしかして名前呼んで貰えなかったって思って悲しい思いさせた? ごめんね?」
うん、女の子を悲しい思いにさせたならちゃんと謝るべきだよね。
「そ! そ!? そんな! 滅相もございません! 貴族様が私達に気軽に声を掛ける事自体、稀な事だと聞いております。けれど、このお屋敷のご主人様や奥様、そしてレンティエンス様はとても優しく接してくれますし、こうして名前を呼んでいただけるなんて幸せな事なんです!」
ん~そうなのか? それぐらいで幸せと云うのは、それはそれで問題な気がする。
「そ、それでは、お!お、お召し物を、ぬ、脱がさせていた、いた、いた!します!!」
あ、また緊張してる? そんなに緊張することない・・・あれ?と云うことは僕は裸になるのか?
「あ、あのレコナさん? 歳って聞いていい?」
「え?あの、15才になりますけど?」
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