君に誓った永遠

やなぎ猫

1話目

僕はカレンダーを見ていた。

カレンダーの今日の日付を見ていた。

今日の日付は四角い枠で囲まれていて、今日と明日は線によって明確に区切られていた。

カレンダーを見ていると今日と明日はつながりはなく

明日になれば今日の僕はリセットされるような感覚を覚えた。


僕は生まれつき身体が弱かった。

小学校にも満足に通えなかったし、友達だって居なかった。

中学生になった今も同じで、それによる生きづらさも抱えていた。


僕は昔から僕のままだった。


いつになったら元気になるんだろう。

いつになったら友達が出来るんだろう。


明日になったらリセットされて僕が僕でなくなったらいいのにとカレンダーを見ながら、そう思った。


今日は、週に1度の通院の日だった。

同級生たちとは違うということを否応なく自覚させられる日だ。

僕はため息をついた。


「じゃあ行ってくるね」母親にそう伝えて僕は玄関を出た。


誕生日に買って貰ったミュージックプレーヤーでお気に入りの曲を聴きながら僕は病院に通うためのバスを待っていた。


僕は公立の中学校に通っている。

通っているというのはちょっと違うか、学校には月に数回行くだけだ。


4か月まえに14歳になったばかりだが、もうすでに何十年も生きたような気がしている。

同級生たちは、部活や勉強や友達付き合いに忙しそうだった。

僕にはそうした外の世界がないので、自然と自分に向き合うことが多かった。

そのためか悲しいと感じている自分を意識することで、自分が悲しんでいることに傷つき、さらに悲しくなる、という風に、どんどん増幅させていってしまう悪い癖があった。

そんな時には、ミュージックプレーヤーでお気に入りの曲を聴くことにしていた。


僕はバス停の脇にある柱時計に目をやった。

バスの来る時間は予定より20分ほど過ぎていた。

新しい曲が始まり、そして終わった。


「来ないなあ」

時計を見ながら呟いていると、高校生くらいの女の子がやってきた。

その女の子は僕を見るなり

「バス、まだ来てないね、間に合ったか」と声を出した。

「はい、まだ来ていません」僕は女の子を方を向かずに返した。

「君、学校は?」女の子は僕に尋ねてくる。そして、

「こんな時間じゃ、君もサボリだね」と明るく笑った。

「病院に行くんです」僕は女の子の方を向いてそう返答した。

「病院?君、どこか悪いの?」と興味を持った風に女の子は聞いてきた。

「まあ、、」とだけ返してミュージックプレーヤーのボリュームをあげた。


ちょうどそこへバスがやって来た。

女の子はまだ聞きたいことがあった様だったが、僕は先にバスに乗り込んだ。

女の子も後から乗り込む。


二人が席に着いた後、バスはゆっくりと走り始めた。

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