謎の宇宙海賊団現る

シュトルツ

第1話

『謎の宇宙海賊団現る』2年5組 パッキー小林


グラサイト鉱石(燃料の意味)を満載したイアピタス号は順調に航行していた。ハワード船長はブリッヂの磁気捜査器(原文ママ)のメーターをにらみながらとなりの一等航海士に話しかけていた。

「何も収穫はなさそうだな。そっちはどうだ」

「こっちのメーターも同じですよ」

と航海士は答えた。

最近いたるところで宇宙貨物船が行方不明になり、これまでにその被害は二十隻になっていた。そこでイアピタス号が捜査とグラサイト輸送を兼ねて出動したのだが、ここまでくるまでに何も発見できずに終わっていたのだった。

「二十隻も行方不明になっているというのになぜ護衛艦をつけてくれないんですかね。」

航海士はぼやいた。彼も同じ気持ち(船長のことか?)だったが表情には出さなかった。

「バカなことをいうな。護衛艦なぞ無くてもこの船があれば十分足りる。それに戦闘態勢はとってあるんだろうな」

と彼は(船長のことか?)は航海士に言った。

「はい。してあります。防御バリャー(原文ママ)はフル作動していますし、15宇宙キロ以内に無断侵入した物にはビーム発射。しかしこれが役立ちますかね うわさでは・・・・」

「透明宇宙船をのりまわすという海賊の事か そんなくだらんうわさは忘れてしまえ どうせデマにすぎん もし来たとしてもビームで宇宙のチリにしてやるわ」

彼は強がりを言うとイスに座りこんだ。しかし この時 危機は迫っていた。

それはいきなり起こった。何も存在しないはずの空間からビームが閃いた ビームがバリャー(原文ママ)に当たって赤く発光した。彼は(船長のことか?)一瞬茫然とした 探知機に発見されずに接近して来るのは不可能だと思っていたからだった。彼は砲術員にビームを発射するように大声で叫んだ。

「どこを狙えばいいんですか」

砲術員が絶叫した。恐怖が全員の心を捕らえた。砲門は狂ったようにビームを発射した。だが、次の瞬間バリャー(原文ママ)はあえなく破れた。船長はイスから放り出され腰を強くうった。

「やられました」

彼は(船長のことか?)歯ぎしりをしてくやしがった。イアピタス号は完全に鉄クズだった その時いきなり通信員が倒れた。ドアにはいつの間に入ってきたのか黒い宇宙服を身に着た(原文ママ)男を先頭に十人ほどの男たちが立っていた。

「そこに並べ 生きているのはきさまらだけだぞ」

船長はいいなりにするしかなかった。ゆっくり立ち上がり手を上げた。


地球の大都市アントニオにある太陽系警察機構本部の百一階はカリン主席の部屋だった。主席の前には一人の初老の男が立っていた。

「さきほどグラサイト輸送中のイアピタスから救援信号がありました」

「またやられたのかね サンドス長官?」

「はい 今回で二十一隻目です 申し訳ありません主席」

サントスは低い声で言った。

「それで船の残骸は発見できたのかね」

「今のところまったく」

「そうか いよいよ彼らの手を貸してもらわねばならない時がきたようだ」

主席は長官を帰すとテレホォンを手にすると秘密のボタンを押すと叫んだ。

「ソルジャーへ連絡しろ 小惑星ケレスに緊急用パルスを送るんだ」


火星と木星の間に広がる小惑星帯(アステロイドベルト) それらはほとんどが永久浮遊するか流星になるものの集まりである。その中に一つ光を放つ小惑星があった。そこにはクライト(ガラスの一種)を張りめぐらしたドーム状の建物があった。その小惑星から少しはなれた小惑星に三つの人影が動きまわっていた。

「ハンマー なにをモタモタやっているんだ」

ハンマーと呼ばれたロボットは突然猛烈な早さでショべる(原文ママ)をふるい またたくまに深さ5メートルほどの穴をあけてしまった。ハンマーは人工眼で命令した7フィートぐらいの男を見ると。

「これでいいですか マスター」

ハンマーはかすれた声で言った。

「そうだ 始めから(原文ママ)からそうやればよかったんだよ ハンマー」

その男は手にした装置を球体の物に接続しながら答えた。黒い髪が宇宙服の中でゆれた。鼻はほり深く若々しい 彼は太陽系内でソルジャーとよばれるチームのリーダーで本名をエドワードハミルトンといい冒険者としても宇宙一の科学者としても有名だった。

「さあ これをその穴に埋めるんだ ハンマー」

エドワードはハンマーに命じた。ハンマーはソッと持ち上げ穴に降ろすとシャベルをふるい土をかぶせ始めた。

「本当にこれでこの小惑星が原子単位まで分解するんでしょうかね」

ハンマーは疑わしそうにつぶやいた。

「エドワードと私の計算ではそうなるはずだ」

器具を仕舞いながらもう一人が言った 身長は6フィートぐらいの年(原文ママ)だった。エドワードの親友でまた科学者として有名だった本名をナインノート そしてハンマーは二人が協力してつくりあげたロボットだった。記憶力が鈍い事が欠点だったが二人はハンマーが気に入っていた。だから二人は新しく作ろうとしない。(新しい別のロボットを という意味だろう)

「もういいだろう 早くプラネット号でここからはなれよう」

エドワードは二人に言った。三人はプラネット号の操縦席に座った。プラネット号はしなやかに浮上すると、すべるように小惑星から離脱し彼らの住み家ケレスの上空に停止した。

「よしやるぞ 要心(原文ママ)にバリャーを張ろう」

エドワードがバリャーのスウィッチに手を伸ばした時ノートが叫んだ。

「見てみろ 家(ホーム)の発光球が光っているぞ」

発光球とは首席からのパルスに反応して発光するようになっていた。

「仕方がない 実験はあとまわしだ」


「遅い 一時間後に到着すると連絡してきたのに。彼らが約束を破るはずはないんだが」

そのころ本部専用の発着場になめらかな形をした船が見事な垂直着陸をした。

しばらくしていきなりドアが開いた。黒い髪をした男と金髪の男に続いて足を鳴らしながら9フィートはあるロボットが入り込んできた。

「ソルジャーメン 遅かったじゃないか」

「実験のあと始末が以外と(原文ママ)時間をくってしまって」とノートが言う。二人の目は好奇心に目をキラキラと輝いていた(すべて原文ママ)。

「それで首席 今回はなんの用で呼んだのですか」エドワードは身を乗り出して言った。

「すまない事だが、実は火星付近で貨物船が次々と消えてしまう事件が起こっているんだ 我々も必死に捜査したのだが全く手がかりがつかめないのだよ」

「なんてこった(デヴィル オブ スペース)これだけの人数があって」ハンマーは低音の声で言った。

「口をつつしめ ハンマー」

とたんハンマーは黙りこくった・エドワードはカリンに向き直ると

「本当に手がかりひとつないんですか 少しは証拠を残していてもおかしくないんだが」

「いや 一つだけそれらしきものがある」

「それはなんですか 首席」

「奴らはクワサイト(グラサイトのことだろう)や鉄材などしかうばわないという事だ 今までひとつの例外がない」

「そんなものをどうするんだろう ハミルトン」(おそらくノートのセリフ)

「分からない それになぜ一隻しかメーデーが出せなかったんだろう」

彼は(ハミルトンのことだろう)首をかしげながら言った。

「首席 今すぐクワサイト(グラサイトのことだろう)を運ぶ船があるか調べていただけますか」

「分かった みつかるかどうかわからんができるだけやってみよう」

「それでは帰らしてもらいます 結果を期待しています」

三人は首席に礼を言うとドアを開けて出ていく。


「マスター一体何を考えているんですか」

ハンマーが心配そうな声で言った。彼らはプラネット号の中にいた。

「ききたいか ハンマー ノート よしはっきり言おう もし船がみつかったら変装して乗りこむつもりなんだ」

「やっぱりそうか よし私も一緒に行こう」(おそらくノートのセリフ)

「いやノート 君は僕が乗る船のあとをつけてくれ」

「わかった 君が言うならそうしよう」

と突然テレバイザー(通話機)が鳴った エドワードがボタンを押すと画面にカリンが映った その顔はどことなく暗かった

「喜んでくれ 君が言っていたような船が見付かった ただひとつだけ不都合な点がある」

「なんですか 首席」

「運ぶ船の乗組員がならず者ということなんだ」

ならず者というのは不利だったが変装すれば解決しそうだ。

「わかりました それで船長の名前は」

「スタナーケリンだ 気をつけてくれたまえ それと出発は金星で 地球時間であさっての十八時だ」

彼は(おそらくハミルトン)礼を言ってスウィッチを切る。

「ちょっと変装してくるからな」

エドワードはそう言うと標本室に入り一時間後に出てきた時には誰が見ても立派なならず者だった 彼は仕上げのひげをたくわえながら

「どうだ この出来栄ばえは」

「上出来ですぜ マスター」

ハンマーが言った。彼はうなずくとハンマーに出発するように命じた。

それから二時間後 プラネット号は金星の軌道上にあった 一気に大気圏をぬけ目立たないように着陸した。そして彼らはタラップを降り都市スピカへ入った。

十八時 一隻の貨物船が空港から飛び上がった。側面にはタイタンと書いてあった。それからタイタンが地球軌道を過ぎたころ。

「そろそろバチ当たりな所ですぜ」

ケリンはうなずくと酒をあおった。

「大丈夫だ あれだけ厳重にやったんだからな」

ケリンの薄笑いがブリッジに響く タイタンが火星の衛星フォボスの影に隠れた時だった だしぬけにタイタンはビームをくらってヨロヨロとふらついた それに続いてアトムガン(原子銃)の銃声と悲鳴が聞こえた

「おとなしくしろ」黒づくめの男が言った

ケリン達は狂ったようにその男達に襲いかかった。だが全員射ち殺されてしまった しかしその中にしきりにベルトのバックルをさわっている男が一人いた 宇宙服を着こんでいる。一人が銃を構えた。それが火を吹く前にその男は伏せていた 頭の上をビームがかすめる

「その「男を殺すな その身のこなしは並みの奴じゃできない芸だ こっちへ連れてこい」

数十挺の銃に狙われ その男 エドワードは手を上げた。彼は二人に腕をつかまれ黒づくめの男の前に無理矢理つきだされてしまった。

「こいつの宇宙服を取れ」

彼はマスクをはぎ取られ変装した顔をさらけだしてしまった。

「この宇宙服にはX線透視器が組み込まれている 変装していれば一発でわかる こいつはソルジャーの一人エドワードだな よし船に監禁するのだ うるさかったらこれを浴びせるんだ」と男は言うとブジッヂから出ていく。

「どこへ連れていく 船などはないぞ」

と叫んだとたん光を浴び意識を失う。


目が覚めた時 彼は船倉に転がされていた。そして彼は指一本動かせなかった。細胞が凍りついたようだった 声でさえ出す声ができない。(原文ママ)その時 だしぬけに体の自由がきくようになった。初老の男がエドワードを見ていた。

「きさまはセミブクテクス」

「久しぶりだなエドワードハミルトン あのうらみはまだ忘れておらんぞ」

「何を言っている きさまのやっていたのは狂気そのものだ 人身売買団なぞ 今度は何をたくらんでいるんだ」

「きさまなぞに分かってたまるか 若造め」

その時すでに彼は(エドーワードだろう)飛びかかっていた しかし一瞬早く麻痺力線が捕らえていた 立ったまま硬直していた

「今度はうまくやるのだな」

光を浴びると彼はまた意識を失った。意識を取り戻した時彼はブリッヂのイスにしばりつけられていた

「きさまをここへ連れてきたのは私の素晴らしい基地を見てもらいたいからさ と言っても不可視光線で見えぬがな ほら あともう少しだ」透明海賊船は宇宙空間にぼんやりと見える発着口へ突入した


十八時 ノートらはタイタンを追って空港を出た。

「大丈夫ですかねマスターは 私は心配で」

ハンマーは操縦かんを操りながらうなった。

「大丈夫さ あいつならどんな事に出会っても必ず生き延びれるさ」

ハンマーはタイタンを見ながらいらだたしげにわめいた そのたびに船体がゆれる。

「やめろハンマー 今はタイタンを追う事だけを考えるんだ イライラしても始まらん」

ノートは冷たく言った それからタイタンは二十時間かけて地球軌道を過ぎた そしてプラネットはそれから十五宇宙キロはなれた所に位置していた タイタンが火星に達したころ

「ハンマー 磁気捜査器(スキャナー)に反応はあるか」

「いや ありませんぜ それより本当に来るんでしょうかね 海賊どもは」

「必ず来るさ タイタンに変化があったらすぐに知らせろよ」

タイタンはフォボスの影についた。

「ノートさん おかしいですぜ いきなりタイタンのエンジンが火を吹いた」

「なに それで海賊船はどこにいる」

ノートは驚いて身を起こしそお言った。

ハンマーはしばらくメーター類をながめていたがすぐにタイタンを中心に三十宇宙キロ以内に何も存在していない事を告げた」

「バカな 三十キロ以上遠くからビームが来るなんてとても考えられない」

その時 受信機のブザーが鳴った エドワードのバックル(ベルトのバックルか)に仕込んだ発信器からのものだ

「ハンマー この信号を追うんだ このままの体勢を保てよ」

ハンマーは不満そうに口をこぼしていたが(原文ママ)やがて静かになった 信号からして急激な早さで移動しているのが分かる

それを追ってプラネット号は太陽系間を突っ走る そして二時間後には冥王星をぬけていた。

「発信点が止まったぞ」

受信機のメーターを見ながらノートが言った。

「磁気遮断線をはりますか」

「そうしてくれ ハンマー」

プラネットはエンジンを止め停止した。


海賊船はブクテクスの基地の中にあった。

「どうだ私の基地は 太陽系外でしかも目に見えず磁気ももれない これではきさまの仲間も手がだせまい」

ブクテクスは憎々しげに笑うとゆっくりブリッヂを出ていった。

彼は脱出するのをあきらめていたわけではなかった。見張りに気づかれぬようベルトに内臓されている七つ道具を取ることに専念した

そして彼はやっと取り出すことに成功した そして超小型切断器を出しワイヤーを一瞬にして切断した そして気が付いた見張りの足に組みつくと足を払ってひっくり返した。

男はしたたか頭を打って気絶した 彼は男から銃と鍵をうばうと鍵で錠を開け廊下に出た そして薬品室を見つけると切断器で錠を焼き切り変装に必要な薬品を持つとブリッヂに戻ると見張りの顔を叩いて目を覚まさせその男の声を覚えるとなぐりつけて気絶させると、エドワードはその男に変装した。服をかえ見張りの男の顔を彼の顔に変装させ手足をしばりさるぐつはをし(原文ママ) 何かなぐりつけてしばらく目を覚まさぬようにすると平然とした顔で海賊船を出た(船を出るの!?)

数歩踏み出した時いきなり彼は声をかけられた冷汗が体中から吹き出た。

「どうしたんだ ジェーン お前はあのバチ当たり野郎のお守りじゃなかったのか」

「いや実は奴がワイヤーを切りやがって俺にかかってきやがって それでこれでなぐって気絶させて縄でしばりあげたが心配でな 新しいワイヤーを取りに行こうと」

彼は声をかけた火星人に見張りの声で言った。そして手にしていたアトムガンを仕舞った。

「畜生 早くあの野郎を殺したいぜ」

その時ブクテクスが歩いてきた X線透視器はつけていなかった そしてブクテクスはエドワードの方を向くと

「どうしたんだ ジェーン 見張りの役目はどうした」

「奴が逃げ出そうとしたんですよ」さっきの火星人が口をはさんだ。ブクテクスは変装に気付いた様子はなかった。

「よし奴を始末してやる 奴をいたぶって殺そうと思っていたがそれにもあきた 一気に片を付けてやる」

彼はブクテスクについてブリッヂに戻った。そこにはエドワードの顔のジェーンが転がっていた まだ目を覚ましていない。

「おいジェーン こいつの目を覚ませ(原文ママ)」

エドワードはすぐにジェーンの口と鼻をふさぎ息をできなくした それはすぐに効果が出た 男はうめいて目を覚ました それと同時にブクテクスは銃を抜いた 本物はなんとか声を出そうとしたがさるぐつわが邪魔になってうめき声にしかならなかった

ブクテクスは小さくつぶやくと引き金をしぼった 本物はビクッと体をふるわせると息たえた

「これでヒーローもその生涯をとじたわけだ 」ブクテクスは死体の処理を命じて出ていく

部下も全員出たところで彼は(エドワード)通信機のスウィチを入れプラネット号を呼び出した。

「エドワード 無事だったか」

「この通信はあまり長く続けられないぞ いいか 今から言う事をすぐにやってくれ イオン追跡装置を使ってこの透明基地への入口を捜し出せ イオンの跡が残っているはずだ 入口が分かったらすぐにそこにプロトン砲をぶち込んで突っ込め わかったな」

言い終わった時 階段を駆け上ってくるあわただしい足音が反響した 彼はスウィッチを切り銃をぬき横にとび銃を構えた

しかし次の瞬間彼を襲ったのは麻痺力線だった 彼は心の中でうらみをこめてうめいた

中吊りになった自分自身にエドワードは絶望を感じずにはいられなかった

「よくも生きていたものだ 変装をして逃げ出そうとは しかし基地内で通信したのはまずかったな この中でそんな事をすれば一発で分かるようになっているのだ」

ブクテクスは醜く笑った しかし彼の(エドワードだろう)注意は中央にすえられたドーム状の装置に向けられていた 内部に何かが入っていることがかろうじて分かった

「ブクテクスあれは何に使うんだ きさまの計画に使うのか」

エドワードは例の装置をさしながら言った ブクテクスはそれを見ると

「そうさ あの装置は電送機と言ってな この中にはグラサイトを満載した装置が入っている これを一時原子のパターンに分解し そして月の夜の部分で実体化させる するとだ 月にすでに設置してあるグラサイト反発機と反応して 月ははじけ飛び地球にぶつかるわけだ」

「バカな そんなことをすれば引力のバランスがくずれ太陽系そのものが滅亡してしまう」

「そうさ 私はこの太陽系をほろぼす事を目的にしているのだ こんな小さな太陽系がほろんでも まだかわりはたくさんある」

ブクテクスは下から彼を見上げて言った

「あと三十分で太陽系の終わりだ」

その途中 突然激しく床がゆれた。

「ボス 奴らです ソルジャーの奴らが船ごとなぐりこんできたんで」

その瞬間 彼の両足に結ばれていたワイヤーがブクテクスの首にまきついた ずるずるとブクテクスはエドワードの真下までひきずられた。

「ブクテクス 俺は今すぐにでも殺す事ができる」

彼はそお言うと少し強くしめつけた ブクテクスは手足をバタつかせワイヤーを外そうと試みた しかし外れるはずがなかった

「死にたくなかったら今すぐ鎖を外すんだ」(太陽系のことは後回し!?)

「は 早くしろ苦しい」

ブクテクスは部下をせかして鎖を外させた 彼はその部下から銃をうばうとブクテクスの首につきつけて出口へ歩んだ。

奥では激しい銃撃戦が行われているようだった 出ようとした時 だしぬけに外観からは想像も出来ぬ力で彼に足蹴りを見舞うと逃げ出した(ブクテクスが逃げたという意味であろう) と同時に部下達は銃を乱射し始めた 彼は(エドワード)歯ぎしりをしながら電装機(原文ママ)に数十発ビームを射ちこむと仲間の所へ走った。

彼は邪魔する者を射殺しながらなんとか発着場に着く事ができた ハンマーはむらがる男どもをなぎ倒しながら奮闘していた 腕を一振りするたびに数十人が吹き飛ぶ ノートはプラネット号のタラップから海賊達をポジトロンガン(電子銃)で片づけていた

エドワードは一気に人ごみの中を走りぬけ 後ろから海賊共にビームを浴びせた 奴らは新手の出現に乱れた その間を狙ってタラップに登った。

「ハンマー 船に戻るんだ」

彼は叫んだがどこにもハンマーの姿は見えなかった 彼はあきらめると

「仕方がない 船を出そうノート」

二人はドアを閉めサイクロトロンを始動させた プラネット号は海賊達を吹き飛ばして発着場から飛び立った プラネット号は勢いよく宇宙に飛び出すと太陽へ向かって疾走した 十分ほどして目ぬ見える海賊船が飛び出した

「よおし 目に見えればこっちのものだ」

プラネット号は小さく弧を描いて背後に回り込んこむとプロトン砲を速射した 始めは十隻いたのが一瞬にして五隻になった

海賊船は四方に散らばるとビームを点射し始めた 彼はビームをよけると海賊船にそって回転しながら五隻ともチリに変えた

そして透明基地のある空間を狙ってプロトン砲を射ち込む そのたびに無音の花火が散った その時基地の一角から一隻の宇宙艇が飛び出した

「ハミルトン見てみろ 太陽系に戻る宇宙艇があるぞ」 ノートが側面のスクリーンを見ながら言った

それはみるみるうちに冥王星に達した 大したスピードだ

「あれはブクテクスが乗っているに違いない 早くあれを追おう ノート」

追い始めようとした時 悪いことに海賊船が出てきた

「新手か こんな時に限って」

再びプラネット号はプロトン砲を射ちながら旋回し始めた 相手は六隻 しかし前のようにはいかなかった エドワードは追跡している海賊船をしりめに急上昇すると後部にとりつけてあるプロトン砲を浴びせかけた たちまち追おうとしていた海賊船は全部破壊されてしまった「邪魔する奴はもういないぞノート さあ追いかけよう」

宇宙艇はすでに海王星から二十宇宙キロはなれた位置にあった プラネット号はサイクロトロンを全開にし速力にものを言わせ追い始めた 船体がミシミシときしむ プラネット号は二 三分で冥王星を過ぎ、そしてなお速度を加えた 二人はGに耐えかねて悲鳴をあげた それから三十分後 ポツンと白い点が見えだすと またたくまに宇宙艇の形になった エドワードは逆噴射のペダルを踏み それと同時にプロトン砲で宇宙艇のブースターを破壊すると プラネット号を宇宙艇につけた 二人はフラフラする足取りで宇宙艇の中に入った ポジトロンガンを構えた二人は広間に入った

「なんとまぁ(デビル オブ スペース)ハンマーどうして」

そこにはハンマーが横たわっていた 片目が破壊されていた

「マスター ブクテクス一味は片づけました ほらどうです 気絶してるだけですが」

ハンマーはわきにかかえたブクテクスをさしながら言った 船内には首をへし折られた部下の死体が数十体転がっていた

「おかしいぞハンマー 気絶しているにしてはあまりにも青ざめてすぎている」

ノートはハンマーの腕をはらいブクテクスの脈をとった それはいかにも弱々しくとぎれとぎれだった

「バカめ 脈がひどく落ちているぞ きさま手荒く扱ったな」

「すいやせん こっちの目をこいつにこわされてしまったもんですから カッとして・・・」

肋骨が数本折れているようだった ブクテクスは小さくうめき声をあげ気絶からさめた

「私の負けだよ 太陽系を破滅させたかったが、二度もまけるとは いづれ貴様を・・・」

ブクテクスは激しく咳きこむと喉に血をつまらせて息たえた エドワード ノート ハンマーは冷ややかにそれを見つめると

「ブクテクスをケルベロス(架空の冥王星の衛星のひとつ)の監獄に送れなかった事は残念だったが これでまた宇宙が静けさを取り戻したわけだ」

「さあ あとは警察にまかせて俺たちはなつかしの家(ホーム)のあるケレスに戻ろうぜ 実験も残っている事だしな」

プラネット号はプロトン砲でブクテクスの死体とともに宇宙艇を元々の姿に返すと ゆっくりとしたスピードで海王星を背にそこから離脱したのだった

そして海賊団全滅のニュースを聞きながらエドワードらは久しぶりのゆっくりとした時間をケレスで楽しんでいた。(完)

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謎の宇宙海賊団現る シュトルツ @packykobayashi

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