第50話 ルミエとデート
「エレンさんはお城に入ったんですかね?」
「だろうな。最初に会った時の聖なる装備に着替えていたし」
「すごくかっこよかったですよね」
王都に来た俺たちは、宿をとって休んでいた。エレンは後から使いを出すといって一人王城に上がっていった。王様とか偉い人たちに対魔王戦のことや、リビア大陸の現状について報告をしているのだろう。
魔族が人と同じように村や町を作っていたと知ったら王城はすごい騒ぎになるだろう。俺たちに使いを出す暇なんてないかもしれない。
エレンからいくらかのお金は貰っているからそれでもあんまり問題はない。
「今日はどうしようか?」
「うーん。そうですね。街の北の方で市が開かれてるそうですから、行ってみないですか」
「いいね。そうしよう」
俺たちは比較的自由だった。
エレンに紹介してもらった宿に泊まっているけど、兵士たちがべったりつくということもなかったし、ルミエも今のところ誰にもばれていない。王都としてそれで問題ないのかと思わなくもないんだが、俺にとっては都合がいいから気にしない。
街の北側は工房街となっていて、弟子を叱責する親方の怒号がそこかしこから聞こえてきていた。そして、その先の広場では様々な工房で作られた商品の見本市の様になっていた。
陶器の器からタンスやテーブルといった家具、革製品に剣や盾といった武具まで様々だ。ここにある商品を直接買うこともできるけども、並べられている商品を見て気に入った工房に依頼をすることもできるそうだ。
「ねえ、これどうかな?」
ルミエが手にしたのは貝殻をつないだネックレスだ。貝殻の裏側が光を反射するとキラキラとしてきれいで、それに動くと貝殻通しが当たって気持ちのいい音を鳴らす。和風なルミエにぴったりだと思う。
「うん、すごく似合うよ」
「えへへ」
「買っちゃおうか?おじさん、これいくらです」
「それは、銀貨三枚だ」
「じゃあ、これで」
エレンに預かった金貨は30枚あるので、銀貨三枚くらいは問題ない。
え?人の金だろうって?
俺は気にしないよ。
受け取ったネックレスをルミエの首に着けてあげるとすごく似合っていた。はにかんだ笑顔もすごくかわいいと思う。
「お、あっちに帽子もいろいろ売ってるみたいだぜ」
「ほんとですね。見てもいいですか」
もう、ルミエが男の娘とか気にならなくなってきた。彼女の魔眼の力じゃないかという気がするがどうでもいい。
こんなかわいい子とこうやってデートできるなら何も問題ない。
と思う。
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