SFO/スペシャルフォースオンライン
抄
第零話:ほんとこの十年色々あったよな
「このトロフィー久しぶりに見たな」
当時使っていた銃の形をしたトロフィー。
これは昔、俺たちがあるゲームで日本一位になった時に貰ったトロフィーだ。
「わぁ! ホントだ! 懐かしいね!」
由紀ゆきも目を大きく開けて驚いている。
「この時は大翔ひろと、ゲーム強かったもんなぁ」
「今は弱いみたいな言い方するなバカ野郎!」
「え? でもこの前大翔と一緒にゲームした時はそんなに強く無かったからなぁ。大翔、結構雑魚なってるで?」
「うっせ! お前が強すぎるだけだ! いい歳こいてなんで今だにランカーなんだよ」
「ぷぷぷぅっ——」
由紀がもう我慢できない、といった風に笑い出す。
「「何笑ってるんだ由紀(何で由紀ちゃん笑ってるねん)!!」」
俺と理玖りくの声がハモる。
「ホント、大翔もリクくんもあの頃からずーーっと息ぴったりだなって思って……! あー、おなか痛い! アハハハッ」
「そんなん言ったら、大翔と由紀ちゃんかって、初めて出会った時からずーーーっと両片想いやったやん! はたから見てるとホンマにもどかしかったで!」
「「それは言うな(それは言っちゃダメ)!!」」
「まあまあ、二人とも落ち着いてな? とりあえず家入って入って! 奈美なみも多分もうすぐ帰ってくるわ! ほかの2人はもう中おるから、はよ入りー!」
由紀と顔を見合わすとクスリと笑って、リビングへ入っていった。
「大翔&由紀カップルのご到着やでーー!」
理玖がおちゃらけて、そう言いながらドアを開く。
「おー! よく来たな! おひさ!」
「おひさ! ヒロっち! ユキっち!」
凛香りんかと美希みきは仲よさそうに、ワインを飲み、クラッカーを頬張りながらこっちを向いた。
「おー、久しぶりだな!」
「凛香ちゃん! 美希ちゃん! 久しぶりーー!」
由紀は走って二人の傍へ駆け寄ると、抱きついた。
「何年経っても女の人のこういう所は全く理解できないよな」
「多分男には分からんねやで! 一生な!」
そう言って理玖は笑った。
由紀の方を見ると二人にほっぺたをムニムニされている。
「まあでも、あーやって騒げるのが仲いい証拠みたいなものなんだろうな」
「男にとっての下ネタみたいなもんちゃう?」
「そうかもな」
「ほら! はよ自分の嫁、救出してき! はよ座って飲もうや!」
理玖に背中を叩かれ、由紀を呼びに行く。
「由紀ー! 座って飲むぞー! ほら、二人とも由紀を離して席に着け」
「ユキっちにだけ優しすぎ―、惚気だるいー」
「ほら、そんなこと言ってないで席に着こうな?」
「わーかーりーまーしーたーー」
駄々をこねながらも俺達も二人も席に着く。
「じゃあ乾杯しよか!」
理玖が音頭をとる。
コポポポポ……とワイングラス二つにワインを注ぐ。
由紀に一つ渡し、グラスを掲げる。
「それでは、この惚気が多めの新婚夫婦に乾杯!」
「「かんぱーい」」
「「恥ずかしいわ!(恥ずかしいよ!)」」
チリンッ
みんなで軽くグラスを合わせる。
「ここ十年ほんと色々あったよな」
「あったねぇ、濃かったよ、本当にね。落第した時にはどうなることかと思ったよ……」
凛香はしみじみと呟く。
「ユキっちはどう思う―?」
「わ、私は、ヒロと出会えて幸せだなって……」
「おーい! 惚気か? 新婚さんは流石お熱いねぇ!」
ひゅーひゅーと騒ぎ立てる。
「あ! 私、私たちと出会う前の、大翔とリクくんの話聞きたい!」
由紀が別の話題に逸らそうと必死になって言った。
「「確かにそれは気になる……」」
凛香も美希もうんうんと頷いている。
「じゃあ、僕と大翔の馴れ初めの話でもしよか! 意外と僕らって大学で初めて出会ったんやで! 大学始まってちょっと経ったときくらいやったっけな…………」
理玖が話し始めると同時に、俺も大学時代のことを思い出す……
―〇―〇―〇―〇―〇―
この物語は、22世紀を一番盛り上げたとまで言われたゲームで世界一にまで上り詰めたクランのお話。
落第してまでゲームに没頭したバカな青年2人と少女4人のお話。
そんな少しおバカでゲームが大好きなクランはこう呼ばれていた。
曰く【落第六角形らくだいヘキサゴン】と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます