エピローグ2 撫でてほしい

帰宅したわたしは、カバンを適当に置いて、コートをハンガーにかけて、そしてベッドに倒れ込んだ。


彼女、というものは、とても良いものだ。とても、とっても良いものだ。


今までは拒まれていたことが、簡単に許されてしまう。それどころか、色々としてもらえることが増える。


彼女、という響きだけで十分に良いのに、それ以上に良いことがありすぎる。


名前で呼んでもらえる。一緒に寝てもなにも言われない。キスしてもいいし、膝枕で頭を撫でてもらうことだって出来る。


……良い……良すぎる……!


わたしは、そばにあった枕を抱きしめて、声を漏らす。


思っていた以上に、甘えることを許してくれる先輩。それから、先輩に甘えているときの溶けていくような感覚。


すべてが最高だと思う。


きゅぅぅ、と胸が締め付けられるような甘さを感じながら、わたしは枕を強く抱きしめて。


「次は、先輩にどう甘えようかな……?」


考えれば考えるほど、溢れるほど出てくることに自分で少し呆れてしまう。


……わたし、先輩のことが好きすぎるなあ。


そう思って、きゅっ、と枕をもう1度強く抱きしめて、それから手を離す。


とりあえず、お風呂に入りながら考えようかな。


そう思い、立ち上がって入浴の準備をしながら、これからの甘え方を考えつつ。


絶対に、明日からも頭だけは撫でてもらおう。


とだけは、心に決めておいた。


自分でも、子どもっぽいかな? とは思うけれど。


心地よかったんだから、仕方ない。


そんな言い訳を、心の中でして。


わたしは、浴室へと向かった。


……はやく、もう1度撫でてほしいと思ったことは、内緒。

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