エピローグ 少しも特別ではない平日
「マジで、ベッドに潜り込むのはやめろ。寝起きにびっくりして疲れるから」
正面で朝食を食べる雨空に、俺はげんなりとしながら水を飲みながら言う。
「ええー……。わかりました。ベッドはやめます」
「そのベッドじゃなければいいんですね? みたいな顔やめろ。大体な、男の家に泊まるとか──」
そう説教をはじめようとすると、雨空が立ち上がる。
「お説教は後で聞きますから、先輩も準備してください。今日は朝からゆっくりしすぎたので時間がないんです。遅刻しますよ!」
「誰のせいだと思ってるんだ……」
はあ、とため息を吐いて、仕方なしに準備をする。
顔を洗って歯を磨き、服を着替える。髪を整えようと鏡を見ると、寝癖はなかった。
軽く櫛を通して整えて、リビングへと戻る。
雨空の支度を20分ほど待ち、家を出る。
朝日が優しく輝いて、心地の良い風に吹かれて、爽やかな朝だった。
「……これで休日だったらいいんだけどな」
「残念ながら平日ですよ。明日は休みですけど」
「休みが遠いな……」
項垂れながら、大学へと向かう。
今日もまた、普通の、少しも特別ではない、平日がはじまる。
それも、悪くない。
朝の風に靡く茶色がかった髪を見て、そんな風に思った。
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