第2話 そうめん食べ切り大作戦!?
それから、しばらく水族館での話をしたことで、なんとか俺の課題は完成した。書き出したら30分ほどで出来てしまい、悩んでいたことが馬鹿らしく思える。
まあ、書き出しが大変なので、どの課題もスタートは悩み、書き出して完成すれば、悩んでいた時間が馬鹿らしく感じることがほとんどなのだ。今回も例に漏れず、というやつなのだろう。
そんな俺が、書き出しの苦悩を超えて、リズミカルにキーボードを叩いている間から、今も雨空は台所で何やら作業をしている。
気分が良さそうに、ふんふんふふん、と鼻歌なんかを歌いながら作業中の雨空に、声をかける。
「何してるんだ?」
そう問いかけると、雨空がくるり、とこちらを向いた。
「先輩、そろそろわたし達はアレを食べ切るべきだと思いませんか」
先ほどの雰囲気から一転、急に真面目な顔をした雨空の言葉に驚きつつも、俺は首を傾げる。
「アレ……?」
「アレですよ! アレ!」
そう言って、びしり、と雨空は部屋の隅を指差した。
そこにあるのは、そびえ立つ白い山──ではなく、あと少しになっているそうめんの袋だ。
「あー……忘れてたな……」
そういえば、そんなものもあった。
夏期休暇に実家に帰省した際に押し付けられたものだ。散々苦労させられながら、なんとか減らしてきたわけだが。
「そうなんですよ! 最近、秋の味覚は美味しいなあとか思いながら旬のものばっかり食べてたじゃないですか! そのせいでまだそうめんが残っているわけです」
「お、おう」
ハイテンションに置いていかれる俺に構わず、雨空はこう続けた。
「と、いうわけで! 今日でそうめんを食べ切りますよ!」
「……なあ、まだ数袋あるんだが……マジで? 今日で全部?」
「はい。今日で全部、です」
真面目な顔の雨空に、俺はそれ以上なにかを言うことが出来ず、そうめん食べ切り計画は開始された。
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