エピローグ 残り香

「それでは先輩、おやすみなさい」


いつもより上機嫌な雨空を、いつも通りに見送り、俺は部屋へと戻っていた。


あの後も、やけに機嫌の良い雨空に好き放題言われ、なぜか寝る前よりも疲れている気がする。


レポートもそうだが、今日は考えることが多すぎた。


早く眠ってしまおう。

そう思い、さっとシャワーを浴びて、ベッドへと潜り込む。


いつもより深く掛け布団をかぶると、普段はするはずのない、甘い香りがふわり、と広がった。



……なんか良い匂い、するんですけど。


結局、しばらく悶々として、眠れなかったことは、言うまでもないだろう。

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