第9話 今です

開始早々、初老の役員が言った。

「君はなにか運がいいとかそんなアピールをしているようだけれど、

なんか話を聞かせてくれるかな。どういうことろで運がいいんだ」

「今です」

「は?」

「今、ここにいることが運がいいんです。今です」

「うーん」初老は私の目をじっくり見た。後は覚えていないが、

とにかくその日に人事の方から内定の電話をいただいた。

役員の方から気に入られたとのことだった。

周りの景色が赤っぽくなるくらい、綺麗な夕暮れだった。

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