にゃあと鳴く死神と永久の銃弾

岩野こま

第1話 我輩は猫である

 僕は猫だ。只の猫。猫の有象無象の一匹だ。


 ほら見て、カラスよりも黒く、光を殆ど反射しないこの綺麗な黒毛を。


 もちろん黒猫が人間に嫌われているのは知っているけど、僕は猫だから人間の都合なんか気にしない。兎に角僕は自分の毛色が大好きなのさ。


 それに人間の中にも黒猫の事が好きな、ちょっと変わったのがいるみたいだ。雨の降る河原で、飢えて凍える僕に優しくしてくれたあの娘。


 それ以来、僕はその少女をずっと追いかけている。


 どうもそのせいで、僕はこの町の人間から本当に『不幸の猫』や『死神』と呼ばれる嵌めになったんだけどね。


 そうだね。今日は僕が皆からそんな不名誉な名で呼ばれる事になったとあるエピソードを紹介しようかな。


 あ、あくまでも人間の社会の中で不名誉という事であって、僕は本当に気にしていないからね。

 


 

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