???

 答えを出さなくてはならない。

 それは人間生きていく上で、選択肢と言う壁に立ちはだかった時に迫られる別の選択。


 結果を求めるなら答えを。

 物事を動かすなら答えを。

 前に進みたいなら答えを。


 逃げるなんて許さない。

 許されてはいけない。


 ————何故か?


 それは物事における停滞を意味するからだ。


 どこかで、少年は口にした。

『疲れたなら休んでもいい。休むことは悪くない』


 ごもっとも。

 物事の結果を求めず、休むのも一つの選択肢なのだろう。


 だがしかし、

 それは『逃げ』ではなく『立ち止まっただけ』。

 疲れ心身を癒す行為に他ならない。


 いつかは動かなくてはならなく、必然的に答えを迫られる。


 勘違いしないで欲しい。

 別に答えを出せと迫っているわけではない。


 ただ、答えを出さなくては結果は訪れないよ————と、言っているだけなのだ。


 なに、難しい話じゃないさ。


 どんなに時間を費やそうが、あらゆる意見を受けようが、自分の意見を下にしようが、誰かの意見を蔑ろにしようが、どんな方法を考えようが、如何なる答えを導きだそうが、周りから非難を受けようが、誰かが傷つこうが、誰かを踏み台にしようが、今まで築き上げた関係を壊そうが、どんなに自分が打ちのめされようが、望まぬ選択を選ぼうが、一人長い時間葛藤しようが————


『答えをだせ』。

 そう言っているだけなのだ。


 無茶言うな、何様だ、逃げてもいいじゃないか。

 あぁ、そうだ。そう思ってしまうのも仕方ない。


 逃げることは悪い事じゃない。

 かの織田信長も金ヶ崎の戦いで逃げたんだ。


 浅井家の裏切りにあい、本軍は壊滅————撤退を強いられることになった。

 それでも、天下統一まで寸前のところまで上り詰めた。


 ふむ、逃げることは悪い事じゃない。

 歴史も、今の人々もそう訴えている。


 だが、分かるか?


 織田信長は、撤退こそすれど————天下統一の為に結果を求め、あと一歩まで上り詰めたんだ。


 逃げたこともある。

 それでも前を向き、答えを出し、天下統一目前と言う結果を示した。


 つまり、何が言いたいかと言うと————


 


 という事だ。


 織田信長は誰もが認める結果を残した。

 けど自分は? 望まれる結果を出せるのだろうか?


 この一つの答えを出したことによって、皆が笑える望まれた結果を出せるのだろうか?


 嘲笑。

 そんな疑問に、腹を抱えて笑いそうになってしまうじゃないか。


 何か勘違いをしているね。

 そんな疑問は、普通であれば抱かない————君は、物事を複雑に考え過ぎている。


 うんうん、分かるよ。

 それは君なりに真剣に考えている証左なのだろう。


 だが、その考えを一蹴してやろう。

 そして、こんな一言をプレゼントしよう————


『誰かが望む結果など、ドブに捨ててしまえ』と。


 君は、人の顔を窺って生きていくのかい?

 誰かが望んだ答えなんて、君に必要なのかい?

 その結果は、君が望んだ答えなのかい?


 人は、生きていく上で誰かを傷つけてしまう生き物だ。

 そうしないと、人は生きていけないからだ。


 呼吸しているだけで、他人の空気を奪っている。

 住んでいるだけで、他人の住処を奪っている。

 食べるだけで、他人の食料を奪っている。


 もちろん、これは極論の話。

 実際にはさほど傷ついていないのかもしれない。


 でも、覚えていて欲しい。


 


 それなのに、今更誰のご機嫌を窺う必要があるのかい?


 開き直って自分の望む未来に踏み出してみてもいいじゃないか。

 そう言えば、とある少女が言っていたね————後悔の無い選択肢を、と。


 正しくその通りだよ。


 自分が考え、納得する答えをしろ。

 例え、誰かが不幸になる結果だとしても。


 不安がることはない。


 確かに、誰かを傷つけるのはいけない事だ。

 それと同時に、自分自身が傷ついてしまうから。


 だけど、


 結果を望んでいるのはだ。


 傷ついてもいいから、その先にある未来に行きたい。

 現状ではない、結果が欲しい。


 例え、己が傷ついてしまうような答えだとしても。


 傷つけることが悪い事じゃない。

 彼女達の事を思うなら、


 まだ、望む結果は出ていない?

 好きが何か分からない?

 どちらを選びたいのか気持ちを選んでいない?


 いいじゃないか。

 それでも、答えを出そうとしているだけ偉いものだ。


 ゆっくり考えろ。

 望む結末なんて捨ててしまえ。


 自分はどうしたい?

 彼女達とどうなりたい?


 君は、どういった結末を望むんだい?






 さぁ、『好き』という感情で揺れている少年よ。


 どちらの少女に恋しているか問答している少年よ————






 エピローグは、近いぞ?

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